恋風旅路 >> 恋風旅日記 >> 長崎・熊本旅日記 >> 1日目


+1日目+(長崎空港〜大村〜諫早〜口之津)

〜雲だ〜
台風をかなり気にして、やる気をなくしていた私だが、当日の朝は曇り。よかった、これなら飛行機も飛ぶだろう。飛行機が飛ばなくて全てキャンセル、5連休(土日休みにくっつけて3日間有給をとっていたのだ)という最悪の結末を予想していたため、これは安心した。

〜もはや要注意人物〜
毎回ちょっとユウウツになるのが、飛行機のセキュリティーチェック。必ずひっかかる。原因はベルトなんだけど、しないわけにもいかず…今回も靴を脱がされ、さらにベルトまではずして再チェック。次からはベルトしないで紐でしばっておこうか…なんて考えながら、出発ロビーへ。

〜これからは通路側にします〜
飛行機は無事に離陸した。前の席に座ってるオジサンが外を見たいらしく、なんだかソワソワしている。彼のわきには窓がなかったのだ。リクライニングしたりしてこっちの方が落ち着かないよ、も〜っ。さらに隣のオジサンは息くさいし。機内ラジオで山下達郎を聴きながら窓の外を眺めてたら、やっと気が晴れた。飛行機の窓際席は好きだけど、ちょっと息苦しいですな。

〜高気圧 晴れ女〜
長崎着陸ー。よく晴れてる。よかった〜。これからけっこう歩くことになると思うので、天気は重要です。心配性の母に無事着いたことをメール。さらによく晴れていることもお知らせ。まだメールを覚えたての彼女からは、こんな返事がきた。
「やったねろまんひこう こうきあつがある」 変換機能が使えないのでこれである。ちゃんと変換するとたぶんこれ。
「やったね浪漫飛行 高気圧ガール」
我が母ながら、いいセンスだ。ちなみに「高気圧ガール」は山下達郎の歌だが、彼女に言わせれば「晴れ女」の意味らしい。

〜小さくしろよ〜
空港から諫早行きのバスに乗り込み、大村公園を目指します。同じバスに、なんだか横柄な態度の少年とおちゃめな母親という感じの親子が乗ってた。私は少年の態度が怖くて嫌な気持ちだったが、ラジオをつけた母に「音小さくしろよ」と小声で注意してた。なんだ、いい子だったよ。人は見かけによらないなあ。

〜広かった大村公園〜

大村公園、池
大村公園にあった小さな池。
池のカメ
カメ拡大。

さて、私は公園入口のバス停で下車。昨年、一緒のバスに乗っていたカップルが降りていったところですな。それは置いといて、ここ大村公園は玖島城が建っていた場所。玖島城は大村純忠の息子、大村喜前が三城よりも堅固にしようと建てた城です。喜前は築城がうまい加藤清正と仲良しだったそうで、玖島城も清正に相談して作ったとか。入り口を入ってすぐの所は普通の公園のようになっていて、池や噴水があった。今は咲いてないけど、奥の方には菖蒲園もあって、なかなか広い公園です。

〜テレビ…〜

玖島城跡
来ました、玖島城跡です。
大手門跡、鳥居
大手門跡の鳥居。

岩の上でこうら干しをしていた亀たちに別れを告げ、公園の奥へ。玖島城の本丸跡は現在神社になっていて、大手門跡にも鳥居が建っています。公園の池の方から来た私は、なんだか古めかしい石垣のトンネルを抜けて、鳥居がある一角へ出た。わ〜、案内板がアズレージョ!これは純忠の城、三城にこそ欲しいなあ。ウロウロしながら写真を撮っていると、城跡を立派なカメラで撮影しているお兄さんがいた。どこかのテレビ局の人かな。でも1人だったし、個人で作ってる人かな。とりあえず邪魔しないように、早めに上にのぼってみた。

石垣トンネル なんだか不思議な感じのする石垣トンネル。
上の鳥居の右手にあります。昔からあったのかな〜…

〜玄蕃さーん〜

城内、桝形跡
桝形跡。お城の工夫ですな
二の丸跡
二の丸跡の広場。奥に見えるのはお手洗い

このあたりは料理屋さんが多いのかなー。何軒か建物がたってる。キョロキョロしながら登っていくと、二の丸跡の標注。おお、ここが二の丸…ミゲルの息子、千々石玄蕃が住んでいたところです。玄蕃さんは純忠の三男である右馬之助の娘をお嫁さんにもらい、大村家の家臣としてここで暮らしていたそうです。自分の父親を迫害した家に仕えるって、どんな気持ちだったんだろう。そんなこともう気にしてなかったのかな…。二の丸跡には戊辰戦争で鼓手を務めた少年の像がありました。会津戦争のときに亡くなったとか。新政府側にも少年がいたんですね。

〜おわっ、もう追いつかれた〜

本丸跡
本丸跡の広場。現在は神社の境内です
搦手門跡
搦手門跡。かつての大手門。

ここでさきほどの撮影のお兄さんが後ろにやってきたため、急いで本丸跡へ。本丸跡には神社のお社や喜前の碑がありました。お社の裏側には搦手(からめて)門跡があり、築城当時はこちらが大手門だったそう。そこから出て、今度は海岸の方へ行こうとしていた私。道なりに進んで行くと、競艇場へ行く道に出た。地図で確かめて、古墳まで行ってみることに。

〜明らかに危険な色〜

玖島城、石垣 本丸の外側、立派な石垣。

そんなにゆっくり見ていたわけでもないのに、すでに時間がない。海岸へ行くのは、対岸にある伊木力の土地を見るため。ミゲルの墓石がある地、伊木力からは大村の土地がよく見えたそうで。それならばこちらからも見えるだろうと、行ってみようと思ってたのです。それにしてもこの城跡、自然が多いせいかクモがたくさん巣をはってておそろしい…。黄色と黒のシマシマのクモばっかり。

〜船で行けるの??〜
競艇場の入り口を通り過ぎ、古墳へ向かう。ちょうどレース中らしく、すごいモーター音が聞こえてくる。すぐ左が海で、小屋が並んでいて「大草行き」「時津行き」などの看板がぶら下がっていた。どうやら船乗り場らしい。大草と言えば伊木力に一番近い駅…船が来ないかと思って小屋の中に入ってみたが、11時40分以降の時間が書いてない。現在12時すぎ。だめかぁ。

〜来るの?来ないの?〜
がっかりして小屋から出てくると、競艇場のガードマンらしきおじさんが声をかけてきた。
「船に乗りたいの?」
「あ…そうなんですけど、今の時間ってないですよね?」
おじさん、時刻表を持ち出して調べて下さってます。
「どこまで行きたいの?」
「大草なんですけど」
「今は12時15分…11時40分…いや、でも長崎の方からまわってくるはずだから、そこで待っとけば来るよ。無料だから乗っていけばいいよ」
「はあ…ありがとうございます」
来るのか?来ないのか?しかも無料?なんだか不安だが、一応待ってみる。茶色のクラゲがフヨフヨと泳いでいた。

〜おじさんごめんなさい〜

ボート乗り場からの景色 ボート乗り場から、対岸の大草方面を見てみる

……。
やっぱり来ない。もう少し待てば来るかもしれないけど、来なかったらバスも逃すことになり、大草まで行けなくなる。私は確実な方をとることにした。引き返して公園前のバス停に向かう。おじさんに一声かけていけばよかった。恩を仇で返すことになってしまい、本当に申し訳ありません。しかし、あの船は本当に来たのだろうか。小屋の中の張り紙には「競艇ファンサービス」と書いてあり、レース期間中、しかもレースに合わせての運行しかしないんじゃないのかな。でもせっかくだから、ちょっと乗ってみたかった。

〜海がすぐそこ〜

大草駅からのながめ 大草駅、橋の上からのながめ。
奥に、さっきまでいた大村が見えます

諫早行きのバスに再び乗り込み、諫早駅へ。いい天気で、歩いたら一汗かいてしまった。諫早から、長与経由の長崎行き電車に乗る。さきほど渡りたがっていた大草まで行き、伊木力にあるミゲルの墓石に会いにいきます。20分ほど電車に揺られ、大草の駅に到着。うわーっ、風が強い!ホームの反対側に渡るため橋の上にのぼると、道路のすぐ隣が海で、その奥に大村の土地がよく見えました。あれ…船乗り場があるなあ…もしかしてさっきの競艇場からの船はここへ来るのかな。

〜なんというミスじゃ〜
駅を出て、左の方向へ道なりに歩いていきます。ここから30分くらいかかるんだよね…ということは2kmくらいか。小学校時代、毎日8km歩いていた身としてはそんなにきつくはないのだが、社会人になってから運動なんて全くしなくなった上に、今日は荷物が重い。しかも手に持ってるから余計重く感じる。歩き出して数分してから気がついた。どうせ諫早に戻るんだから、コインロッカーに入れておけばよかったじゃん。なんてこった。あああ…バカだ…旅に慣れたと思って油断してました。慣れてないころなら、隅々まで緻密に計画を立てていたので、こんなミスしなかったのだ。それこそ、預けなくていいような時まで預けていたりして、余裕で歩いていたのに。

〜案内板がありました〜

千々石ミゲルと見られる墓石、案内板 親切な案内板。断定してない表現がいい

今さら後悔しても仕方がない。ずんずん進むぞ。川を越えてから左に曲がる…と思っていたら、「←千々石ミゲルと見られる墓石」の標識がひょっこり現れました。なんとまあ、標識が作られたのか!ありがたや。標識どおりに曲がって、田んぼの中の一本道を進む。左手に小学校があり、子どもたちのにぎやかな声が響いてきてました。

〜再び案内板〜

千々石ミゲルと見られる墓石、案内板2 ここにもありました

坂道でもないのに、こんなに息切れしているのはナゼ??やっぱり荷物のせいだ…。分かれ道に来たが、ちゃんと標識が立っていたので迷わず左へ。ホントありがたいです。私と同じようにリュックを背負ったおじさんが、前を歩いてる。もしかして同志か?お墓で挨拶することになるかなあ…と思いきや、おじさんは違う道を行ってしまいました。なんだ、違ったか。

〜お、おじゃましま〜す…〜
もう標識は立ってない。最後のトンネルは自分で選ぶのだ。確か赤いレンガの立派なトンネルだったはず。トンネルを1つ通り過ぎ、川を越えると左手に赤レンガのトンネルが現れた。くぐっていくと、さらに「千々石ミゲルのものと思われる墓石→」の標識が!民家の裏山にあるみたい。

〜ご対面です〜

千々石清左衛門夫妻の墓石 とうとう会いに来ました。
私の背より高い、堂々とした墓石です

トンネルを抜け、右にある山を見上げると…そこにありました。全部は見えないけど、墓石の頭の方だけ見える。斜面の途中にあずまやが作られていて、ミゲルの解説板、さらに墓石のところまで登れる階段も設置されています。ああ…なんだか嬉しい。あずまやのベンチに荷物を置かせてもらい、階段を登る。墓石が全て姿を現し、私の目の前にありました。なんだか鳥肌がたった。清左衛門夫妻が本当に目の前にいて待っていてくれた気がして、しばらくぼんやりしてました。

〜裏も見る〜

お墓への階段
お墓への階段 
清左衛門夫妻墓石、家臣の墓石
左は家臣と伝えられる人の小さなお墓

夫妻と家臣のお墓にお参りしてから、「失礼しますっ」と墓石の裏側にまわらせていただく。『千々石玄蕃』の名前が見たかったのだ。あ、あった。左下にくっきりと刻んであります。こちらは肉眼でもよく見える。でも表の字は真ん中の大きな『妙法』の文字以外、ほとんど見えない。日付なんてどこに書いてあるのかもよくわからない。よかった、研究してくれる先生がいて…。

〜ここがふんばりどころだぁ〜

線路からのながめ 墓石付近の線路からのながめ。
(手前の暗いところが線路)
奥に大村の土地がよく見えます

これから清左衛門終焉の地、熊野神社に行こうと思っているので、早々と立ち去る。「いつかまた来ます」と心の中で約束し、来た道を戻っていきます。荷物重いし、風強いし、時間がないしでちょっとくじけかけていた私。でもここまで来たのに行かないなんてもったいない。自分を励ましてなんとか行ってみることに。

〜迷った〜
道間違えてるみたい…。地図にない道があるんだもん。舗装されている道を歩いているものの、なんか山登ってきちゃってるし。ちょっと高台になっているので、立ち止まって下を見てみる。学校があるでしょー、それのすぐ近くだからー…あそこか?なんか木がこんもりと繁ってる場所がありますよ。とりあえず今いる所は間違えてるから、下に降りてみよう。

〜違うじゃん…〜
降りてみた。木がこんもりしてる場所は公民館みたいなところで、子どもたちの引き取り訓練をしていた。引き返す私。は、恥ずかしい…。道を訊いてみようかと思ったが、訊く時間もなさそうだったので、あきらめて駅に向かうことにした。あーあ…もう少しだと思うんだけど…。あ、交番だ。あきらめたはずなのにまだ未練があるのか、道を訊こうと思った私。しかしお留守でした。

〜ミゲルの使者か〜
ついてない…とぼとぼ歩きだしたら、左に白ネコが横切った。ネ、ネコー!自分で飼い始めてもやっぱりまだネコかまいたがり。ネコを目で追っていると、ふと鳥居が見えた。「熊野神社」と書いてある。こ、ここだ!!やっぱり「木がこんもり」の、この場所だったんだ!公民館は神社のすぐ裏にあったのでした。

〜ネコが見てた〜

熊野神社 熊野神社。
人が二人並んで通れるか、通れないかくらいの階段

熊野神社、写真で見たよりもこじんまりした神社でした。これは予想外…。時間がないので滞在時間30秒くらい。とりあえず写真を撮らせていただいたが、木がこんもりなので暗ったい写真になってしまった。駅への道を急ぎながら、清左衛門と奥さんがあのこじんまりした土地で、一緒に暮らしている様子を想像してみた。昔はもっと広かったのかもしれないけど…。なんだか、あのこじんまりした感じと、私の中の清左衛門像が合ってる気がして、妙に納得したのでした。ネコは私を導いてくれたのだろうか。写真を撮る私を見届けるように後ろに座ってた。近寄ったら逃げたけど。

〜おいしいシャーベット〜

カエルオブジェ
交差点にあった、挨拶や
交通安全を促すオブジェ。
近くの小学生が作ったのかな
カエルオブジェ拡大

駅までまた歩かなければ…前を小学生の女の子が歩いてる。ちょうど下校時間なのね。のどが渇いていたので、駅の近くにあった直売所でみかんシャーベットを買ってみる。うまい。他にイチゴとかもあったけど、やっぱりここはみかんでしょ。伊木力みかんも買おうかと思ったが、荷物になるのでやめておいた。

〜コンビニあったんだ〜
電車で諫早まで戻り、口之津行きのバスを待つ。去年泊まった「くちのつ」に、今日も泊まります。またさざ波の音が聞こえるかなあ。今晩は夕飯を頼んでいないため、コンビニで食料調達。4回目にして、やっと諫早のコンビニを見つけた。

〜人がいる温泉街〜
口之津行きのバスに乗り込み、島原半島を南下。千々石でハッと起き、景色を眺める。雲仙市になったんだっけ。でも西海町と同じように、住所には千々石の名前が残ってるらしいので、一安心です。窓からちらりとミゲルの像も見えた。その後順調に起きていたので、小浜の温泉街も見られました。煙が立ちのぼってるよ〜。なんだか活気がある感じの町でした。

〜沼じゃない海〜

橘湾の夕日 バスの車窓から。素晴らしい夕日

そろそろ日が沈んできた。今日はよく晴れているので、夕日もきれいに見えますよ。バスの中から海に沈む夕日を眺めつつ、バスの中を見てみる。学生さんがちらほら乗ってます。高校生かな。地元の子たちは、こんな夕日も、波立つ海も見慣れてるんだろうなあ。こちらは帰ったら沼しか見られないので、ずっと海の水面を眺めていた。

〜一番星みつけた〜
ずっと海の方を見ていたら、昨年びっくりした双子岩が現れた。あれ?結構でかい。私の記憶の中ではもう少し小さかったような…1年前の記憶なんてアテにならないもんだ。日がとっぷり暮れたあと、やっと久木山バス停に到着。暗闇の中、バス停の時刻表で明日の口之津行きのバスを確認しておく。そこから少し歩き、くちのつに向かう。昨年の道は電気がなくて怖いので、今回は大きい道から行ってみることに。空にはすでに一番星が輝いていた。

〜2人じゃなくて、1人なんです〜
くちのつに到着、チェックインしようとするとおじさんが
「2名様ですか?」
ときいてきた。電話で予約したので人数が正しく聞き取られていなかったらしい。
「布団がふたつ敷いてあるかもしれないですけど、気にしないで下さい」
とのこと。そんなこと全く気にならないので大丈夫ですよ。

〜布団よりも残念〜
部屋に行ってみると、布団がふたつだった。ひとつ片づける。なんと、今日は海側の部屋じゃないのですよ。団体さんが来ていて、さざ波が聞こえる海側の部屋が満室らしい。こんなとき弱い立場の個人旅行者…。あーあ、ガッカリ。しかも換気扇か何かが外にあるらしく、たまにモーター音が…まあいいや。

〜楽しみにしていたフルーツ牛乳〜
昼間歩いてドロドロに疲れていたので、お風呂は最高でした。今回は風呂上がりのフルーツ牛乳も買ってみた。わーい。明日は口之津から天草に渡りますよ。初熊本です。フェリーを楽しみにしながら、眠りについた。

+2日目へ+(口之津〜天草下島)

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