恋風旅路 >> 恋風旅日記 >> 長崎旅日記4 >> 1日目


+1日目+(長崎空港〜長崎市)

〜旅の日程を確認しましょう〜
 朝(夜?)3時…起きました。出発の日です。勢いで6時40分発の飛行機をとってしまったため、最寄り駅からバスで空港まで行かなければならないことに。電車はまだ動いていません。「バスなんか誰も乗らないだろう」と思っていたら、結構お客さんがいる!かと言ってテンションが上がるわけでもなく、バスの中も暗いため、そのうち眠りの世界へ…
 さて、今回の旅は2泊3日、と言っても3日目は朝一の飛行機で帰るためまた早朝起床という、私にとってはハードなスケジュールです。帰ったら空港から学校に直行だ…そして2科目テスト!なんてこった!

〜仲間がいますぞ〜
 低いテンションのまま空港着。なんかいろいろシステムが変わってた。バーコードが取り入れられてた。セキュリティーチェックでまたもやベルトがひっかかり、次こそ外すぞ!と固く心に誓う。廊下の隅の方でベルトしてたら、すぐ横のドアから飛行機の運転手さんが出てきましたよ。見られた。
 ロビーで搭乗手続きの時間を待っていると、シスターさんたちがやってきました。おぉ、同志だ。それにしてもお腹空いた。売店にはサンドイッチしか売ってないなあ…おにぎりを持ってくるべきだった。ふと東京土産に何か買おうかと思ったが、荷物になるのでやめておいた。意志が弱くてすみません。

〜空港で日の出〜
 飛行機まで運んでくれるバスから降りると、ちょうど日の出!滑走路の先によく見えます。微妙にテンションが上がった。しかし写真を撮る元気がなく、のろのろと機内へ。今回、観光に対する自分のやる気が感じられないです。なので離陸後しばらくして
「左手に見えますのが富士山です」
と機内アナウンスが流れたときも、3日後のスペイン語のテスト勉強を必死でやってました。機内では、富士山をきっかけに隣のおばさんたちがおしゃべりを開始。どちらも社交的な人なのかな??ちなみに私は途中で力尽きて寝ましたが、おばさまたちは着陸までずっとしゃべってましたよ。そのパワーを分けて下さい。

〜しばらく長崎に行かない間に〜
 空港でバスの時刻表とともに、「おおむらの史跡」と「日本最初のキリシタン大名 大村純忠のまち おおむらキリシタンマップ」なる小冊子を手に入れました。こんなの作ったんだ、やるなぁ大村。
 さて、今回は直接長崎市入りです。バスに乗り、発車までの間に荷物整理していると、おばさまに声をかけられました。
「このバスは長崎駅前に行きますか?」
「はい、行きますよ」
即答したものの、急に不安になる。私は今回「長崎新地」で降りるのだが、駅前には行くかな?さっきバスの側面に書いてあったのを思いだし、たぶん大丈夫と判断。自信満々な小心者です。

〜使節の像を見忘れた〜
 まだやる気が出ない私を乗せてバスは出発。時刻表どおりじゃないみたいだけど、また別の路線なのかな。バスの席はほぼ埋まっております。やっぱり長崎市に行く人が多いんだなあ。荷物整理がまだ終わらず、ガサガサやっているうちに使節の像を通過。何やってるんだか。いつもなら必ず使節像が見える方の席に座るのに。久しぶりの長崎で以前のカンが戻っていないことにちょっぴり落ち込みつつ、空港でもらった長崎市内の地図をチェック。実はホテルの場所がよくわからない。旅行会社でもらった地図がアバウトすぎる。

〜ここでも小心者〜
 1時間もかからないうちに長崎市到着ですよ〜。これは便利。長崎新地のターミナルで降り、とりあえずホテルに向かいます。路面電車が来たのでいそいで乗り込む。あれ?これ後払いだよね??やはり久しぶりなのですっかり忘れてます。何も言われないのでそのまま乗ってましたが、何か異様な空気を感じたのか、乗っていた女の子がこちらをチラチラ見ていました。あれ?本当に大丈夫だよね!?自意識過剰だから、平静を装いながらやたらソワソワする私。
 程なくして、思案橋に到着。さ、ホテルに行きますよ。気になってた路面電車は後払いでした。良かった良かった。

〜道を間違えてるような〜
 昔は遊廓があったという思案橋、電停のまわりはそんな雰囲気でもありません。ホテルがあるくらいだから広い通りがあるのだろうと思いきや、路面電車が走っていた道以外で広い道がない…どこ入るんだろ。例のアバウトな地図には「丸山方向へ徒歩1分」なんて書いてあるけど…とりあえず「思案橋」と書いてあるアーケードをくぐって、細い道に突入。なんかこちゃこちゃした道を進みます。

〜生活に溶け込んでる空間です〜
 普通にゲームセンターがありました。観光地外な感じです。私はゲームセンター店員なので、ちょっと興味をそそられました。お金がないので滅多に遊ばないけども。今は通り過ぎることにして、ホテルを目指します。
 あれ?なんか今「リッチモンド」って壁に表示されてたような?あまりにもさりげないので、1回通り過ぎた。戻ってみると、「リッチモンドホテル長崎思案橋」とおしゃれな感じの表示が目に入りました。ここだここだ。ちょっと高級なマンションの入口って感じです。足を踏み入れると、私には場違いな雰囲気漂うおしゃれなロビーがありました。追い払われそうな空気を感じながらも、堂々と名前を告げると、ちゃんと予約されてましたよ。フロントのお姉さんは、貧乏学生な身なりの私にも丁寧に対応して下さいました。

〜出島とか眼鏡橋とか平和公園とか〜
 荷物を預かってもらい、いよいよ街へ繰り出しますぞ!本当は原城まで行こうかなと計画を立てていたのだが、時間的に厳しいことが判明し、おとなしく市内めぐりですよ。本日最初の目的地は「長崎歴史文化博物館」です。史跡巡りの方が好きな私にとっては残念な感じですが、今は列福式に関連して「バチカンの名宝とキリシタン文化」という特別展をやっているので見に行くことに。途中、眼鏡橋の近くを通るのでついでに寄ってみることにしました。普段「長崎だ」って騒いでるわりには、有名観光地の眼鏡橋は見ていなかったんだ、私。関東の人間に「長崎行った」というと「出島とか?」と言われますからね。ちなみに私はまだ出島に行ったことがありません。電車から外側だけ見えたけども。いつか行こう。

〜また迷った〜
 さて、空港でもらった地図を頼りに、テクテク歩いていきますよ。それにしても、自分の歩いてる道が地図に載ってる道なのかわからない…。このあたりはお寺が多いので、それを目印に進むことに。お寺の近くはまた違った雰囲気の路地があります。そんなのを楽しみながら歩いていると、眼鏡橋の標識が見つかりました。おお、助かった。これでとりあえず、川にぶつかればいいんだろう。道に迷ったときはとりあえずの目的を立てるのが私のやり方。

〜とりあえず川に来てみました〜

眼鏡橋を作った人 眼鏡橋を作った人

 眼鏡橋、すぐ見つかりました。思ったより大きい。他の観光客の方がたくさんいて、仲間同士で写真を撮ったりしていてちょっとうらやましい。こちらは独り身なので、「いかにして眼鏡をうまく撮るか」に専念。

眼鏡橋 専念した結果の眼鏡

眼鏡橋の反対側。橋がずっと連なっています

ここには眼鏡橋の他にもいろいろな形の橋がかかっていました。1つ1つ見ていくのも楽しそうです。
 対岸に渡ると、何やら不思議な彫刻が…出た、またもや中国から贈られた彫刻だ!龍に乗った男の子と女の子の真っ白な像です。平和公園にある乙女像で、すっかり中国のセンスにハマった私。なんかいろんな意味で好き。団体客に説明するガイドさんのお話を盗み聞きし、さっさと先を急ぐ。川岸には柳の木があったりして、ここも風情があります。ゆっくり散歩したいところですが、博物館に行かねば。

中国からの像 中国のセンスって何ともいえない魅力があります

川沿いの道。ゆっくり散歩したい


〜今回は冴えてる〜
 路面電車の走る大通りに出てきました。一番近い「公会堂前」という電停は見つかったのだが…トンネルになってる??なんかここ複雑だなあ。しばし迷った末、トンネルの上に続く道を上ってみることに。上りきると、道の反対側に変わった建物がありました。学校みたいだけど…昔の建物風の門があったので行ってみると、「桜町小学校」の看板がかかっていました。おお、博物館が近いぞ!塀には「長崎歴史文化博物館→」の表示もありました。やった、珍しくそんなに迷わずに来られた〜。

これ校門なのかな〜…?

 博物館へ行く道すがら、びっくりする景色が現れた。山にびっしり家が建ってる!登るの大変そう…でも眺めは良さそうだなあ。

奥に見えるのが家びっしりの山。
ポルトガルのリスボンも似てるとか似てないとか


〜学生に優しくして〜

博物館に着きました。
ここにも「さるく」のキャラクターがいらっしゃいました

 サクサク歩いていくと、右手に、武家屋敷風(?)の建物が見えてきました。いよいよ博物館に到着です。常設展と企画展があるらしいが、時間がないので企画展のみ選択。「学割ってないですよね」とダメもとで訊いてみたが、やはり「ない」ということだった。企画展の会場まで、階段で上る。結構あるなあ…3階くらいだったのかな。下は常設展だから仕方ないのだろう。受付で券を見せ、見学開始!

〜博物館の展示〜
 展示はテーマごとに分かれ、盛りだくさんに感じられました。キリスト教関係の資料がこんなに集まってる展示は初めてかも。そんなに博物館とか行かないので、あくまでも私が見てる範囲で、ってことですが…。
 私の印象に残った資料をいくつかご紹介。
●日本地図屏風。堺市博物館寄託(個人蔵)。江戸時代初期に描かれたらしい。中心に北海道以外の日本地図が描かれ、まわりに「陸奥五十四郡… シバタ…」など、地名がカタカナで書かれてます。それがくずし字じゃないので私にも読める!知ってる地名を見つけては「へえ、あの時代からあったのか…」と感動。
●日本イエズス会士殉教図。ローマ・ジェズ教会蔵。殉教した宣教師たちが描かれ、ちゃんと名前も入ってます。逆さづりで顔が地中にあり、体しか見えなくなってる人がいるのが印象的でした。こういう描き方もするんだなあ。
●伊東マンショ肖像画/メスキータ神父肖像画。長崎歴史文化博物館蔵。使節ファンとしてはやはりこれを見ないと。実物は初めて見ました。(実際は違うのかもしれないけど)鉛筆でデッサンし、水彩絵の具で肌の部分だけ色をつけてる感じ。まだ描きかけなのかな、これ。でもかなり上手だと思う。マンショはまさに「日本人」。目の形とか典型的な日本人。
●聖母子像 サッソフェラート作。バチカン美術館蔵。色彩が鮮やかでとても明るい絵。まわりにいる天使が気になる…赤ちゃんの頭に羽がついてる智天使(ケルビム)だって。キリスト教では当たり前なのかもしれないけど、私にとっては斬新なキャラクターデザインだわ、これ。
●聖母像(親指のマリア)。東京国立博物館蔵。1週間くらい前に東京で見たのに、なぜここにも!?と思ったら、複製でした。よく見ると涙が描いてあるのにも驚き…でも複製だとあまりはっきり見えなかったような。服の青はきれいに見えました。

〜勉強の成果〜
 キリスト教の絵についてちょっとだけ本を読んでた私。本当に少しだけなのに、展示資料が前よりわかるようになったような…やっぱり予備知識って大事だなあ。それから古文書。通信教育を申し込んだものの、ほとんど進んでなかった。それにも関わらず、「乍恐…」で始まる古文書を見たときに「あ、これ見たことある!」と認識できたのにはびっくり。わかるのは最初の2文字くらいで、あとは全く読めないけど…。でも、人間少しでも学習すれば成長できますよ!

〜半額に、あわよくば無料に〜
 見終わって階段を下ろうとしていたら、「もう1回見るのはいくらかかりますか」と話している声が聞こえてきた。もう1回見るのは無料かと思いきや、やっぱりお金を払うんだって。通常の入場料からはいくらか割り引いてくれるものの、なんか納得いかない…。せめて半額にしてほしい。博物館さん、お願いします。
 さて、1階に戻ってミュージアムショップで図録購入。高いので普段は絶対買わないが、キリシタン文化だしね。買っておいたほうがいいよね。そしてなぜか幕末の人物が描かれているトランプも買ってしまった。これは衝動買いだ。

〜教会跡がこんなところに〜
 荷物が増えたが、めげずに次の目的地へ。日本二十六聖人記念館に向かいます。ここでも、列福式に合わせた展示がされているようです。
 博物館を出て、さきほどの小学校近くまで戻ってきたとき、ふと「サント・ドミンゴ教会跡」の看板が目に入った。さっき通ったときもちょっと気になってはいたのだが、「時間があったら見よう」ということで後回しにしていたのだ。迷った末、入ってみることに。しばらく来られないかもしれないし、迷ったときはやることにしているのだ。しかも無料だって!

サント・ドミンゴ教会跡入口。
さきほどの小学校校門(?)に合わせたデザイン


〜確かに休めてラクだね〜
 サント・ドミンゴ教会跡資料館は、教会跡を発掘してそのまま残して展示しているという、史跡好きな私には嬉しい資料館です。小学校の一角にあり、入り口をあけるとそこはもう遺跡。発掘現場の間に通路が渡されており、上から井戸跡や地下室跡がじっくり見られるようになってます。あ、今思い出したけど、ここネットで見て行きたいと思っていたところだ!思わぬところでめぐり会えてよかった〜。
 遺跡の奥には展示室があり、この遺跡の解説映像が見られたり、出土したキリシタン遺物が展示されてたりします。圧巻だったのは花十字紋の瓦がずらっと壁一面に並べられたスペース。80点くらいあるらしい。そばの椅子に座ってしばらく眺めていました。一言書き置きできるノートもあり、いろいろ書き込まれてました。「このような場所があるとは知りませんでした」という地元の方の書き込みから、「ここは休めて楽」というような中学生(?)の書き込みまで。小学生も書いていて、学校の学習にも利用されているようでした。遺跡が校内にあるなんて素晴らしい。

〜サクサク進みますぞ〜

右下の方で石が積み上がってるのが井戸 通路の様子

 入り口の小部屋にいるおばさまに写真撮影の許可をいただき、早速撮影。インスタントカメラが余ってたので今回はこれを使用。映りが気になるところだが、そのまま撮影終了。
 さて、さきほどの電停に戻り、駅前に向かう電車に乗ります。公会堂の駐車場のようなところでは、長崎産の土産物市が開かれてました。ちょっと入ってみたけど、荷物も増えるので買うのはやめておいた。母に頼まれたお土産(海鮮物系のもの)もすっかり忘れ、電車に乗る。

〜体力ゼロ〜
 駅前で路面電車から降り、二十六聖人記念館へ。あれっ、ここってこんなすごい坂だったっけ??かなりきつい…。ヘトヘトになりながら西坂公園の広場に到着。木の下のベンチで一休みです。紅葉が進んでてきれい。しばらく和んでから、記念館に向かう。二十六聖人記念碑の前では、テレビカメラとレポーターが観光客に質問していた。明日が列福式だから、テレビで放送するのかな。

ベンチから記念碑を臨む。紅葉がいい具合に進んでいます

今日も猫がいました


〜珍しい状況〜
 記念館の中は、人がいっぱい。これは今まで巡り合わなかった状況だ。今日が休日だからか、明日が列福式だからなのか。平日に行くと空いててゆっくり見られるのだが…今回は流れ作業の見学になってしまった。
 記念館では列福式に合わせて、特別展「殉教者とその時代」が催されてました。「日本イエズス会士殉教図」は博物館にオリジナルが、こちらには複製があり、また見られてよかったです。あとは高山右近の書状とかちょっと気になったかも…解読文も展示されてたけど、あまりよく見られなかったので何が書いてあったのかはわからず。また必要になったらお目にかかる機会も来るだろう。

デザインが気に入ったので撮ってみた



〜ゴクリ…〜
 最後に、入り口脇の売店に寄ってみました。列福式記念にジュリアンの十字架が販売されてました。ど、どうしよう…これ買うべき?買わないでいい?真鍮製(?)の結構大きな十字架で、西海市のジュリアン記念公園にあるジュリアン像の絵が描いてあります。輪っかがついてるけど、大きくて重いからキーホルダーにもストラップにもできないよね。これをキーホルダーなどにするのも不謹慎だけど。う〜ん…。迷っているうちに「買おう」という気持ちが80%くらいになったので、「すいません、ジュリアンの十字架をひとつ…」と言ってました。まあ買ってよかったかな、買わなかったら後悔してたと思う。どなたか、この十字架の良い使い方を教えてください。

西坂公園の広場から長崎港を…って、よく見えませんでした


広場のはじの、小山を登ったところにひっそりありました。
「日本二十六聖人殉教跡」と刻んであります



〜雨だ〜
 夕方になって、雨が降ってきた。駅前(というか駅ビルなのかな?)のレストランでちゃんぽんをいただき、今日はホテルに引きあげることに。夜の食料をコンビニで調達、また路面電車で思案橋まで向かいます。明日も雨かなあ…
 ホテルに着き、のんびりしていたら眠くなってきた。今日は眼鏡にマスクという、怪しくやる気のない姿で過ごしていたが、これがまた楽なんだ。博物館であくびも出なかったし。いつも出るあくびはコンタクトのせいだな(ということにしておこう。決してつまらないというわけではない)。
 眠気がとれないので、仮眠をとってからせっせとテスト勉強していると、使節仲間のじろーさんからメールが来た。「もうすぐ長崎に着きます」とのこと。まだ長崎に向かっている途中らしい。またしばらくして、「着きました。これから飲みませんか?」とのメールが!行きたい!しかしテストに全く自信がなかったため、泣く泣くお断りすることに…。くそぅ、なんで私はいつもこうなんだ。ギリギリにならないと行動しない自分をうらめしく思いつつ、スペイン語と東洋史で夜は更けていくのでした。

+2日目へ+(長崎市)


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