ドラードの探検記 エル・エスコリアール編
●修道院の納室にて
最初に示されたのは聖遺物であった。入り口の右方にある祭壇に整然と置かれていた。そこには殉教した聖女に殉じた女性の頭蓋骨24、キリストのいばらの冠の棘9つ、銀をちりばめて飾られた諸聖者の腕の多数と聖遺物箱が11あった。聖遺物箱の7つは大きく、4つは小さいもので、一見して敬虔の念と礼拝の心を起こさせる聖像や聖遺物が納められていた。
●修道院の文庫にて
様々な言語で書かれた書でいっぱいの、たいそう広い一室である。何冊かの本は立派に装丁されていた。壁面には高価な書棚や机がたくさんあった。また美しい図の地球儀が2つあった。戸口を入るところに、キリストの磔刑像2つと、たいそう大きな聖画像2、中くらいの大きさの聖画像15、小さい聖画像24と、人の身長よりも高い真鍮の大きな燈明台があった。これはトルコ人との海戦(1571年レパントの海戦)のとき得たものである。また、同じくトルコの旗もあった。その他にも、41個の箱など、小さいものがたくさんあった。また、入り口に、1つの額があった。これには、中央から前へ後ろへ両側へ、そのいずれの方へ読み進めても同一のことを表すように文字が書かれていた。全文の長さ4パルモ、幅2パルモあった。
私たちはそれから他室へ移ったが、その部屋には213冊の唱歌書があった。それぞれ200クルザードの価値があるもので、長さ5パルモ、幅4パルモあった。手写しのものであったが、何枚かは印刷されたものもあった。これらの製作・彩色には1枚1200レアルを必要としたという。
●その他の部屋の様子
私たちは、多くの戸棚や聖遺物箱がいくつかある一室へ入って見学した。付属している小部屋には立派な7つの棚があった。その中には救世主キリスト・聖母・諸聖人の像が大小合わせて60体、歴代の教皇様、枢機卿様の額が24あった。この部屋には丈4パルモ、周り6パルモのとても大きな石製の水瓶があった。キリストがガリラヤのカナの婚礼で、水から葡萄酒を作るときに用いられたものであるそうだ。
同室にはまた、とても華やかな色彩を施し、特別に美しい金銀装丁のされたミサ典礼書があった。この修道院の長老は、厳粛な祭典のときは、そのミサ典礼書でミサを行うという。また、多数の高価な宝石をちりばめた、極めて立派な紅色の祭服一着、十字架の金銀翼(十字架の棹を覆う装飾物)が付いた、金色の祭服一着があった。2着ともミサと晩祷を行うのに必要な装飾をさらに付けてあった。他にも祭服が数多くあったが、この2着ほど立派なものはなかった。
また、真鍮の燭台があって、24本のろうそくが据えられていた。立派な銀の燭台もあった。
聖具の納室を過ぎるときに、3つの階段があって上階へ昇れるようになっていた。一階段ごとに73段あり、各段の長さは12フィート、いずれもたった1個の石で作られていた。
病人用の薬剤室もあって、よい匂いがし、気高い香りに満ちており、器はみな銀製であった。
私たちはまた、衣装室にも行って見学した。それは大きな部屋で、修道者の衣服がすべて所有者の名を付けられ、四角く張ってある網に垂れ下がっていた。その四角の一つには44着の衣装が掛けられていた。
●食堂について
二つの食堂もあった。一つは病者のため、もう一つは共に住んでいる会員のためのものである。
前者には3卓あり、1卓につき8人分の席を有している。
会員のための食堂は40人座れる大食卓8つと、説教壇2つを備えている。説教壇の1つは左側に、もう1つは右側にあり、説教できるようになっている。入り口には3つの大きな扉、内側にそれより小さい2つの扉がある。
●聖堂について
聖堂には40の祭壇があり、みな石造りである。中央両側には2つの階段がある。大祭壇の左右両側には皇帝様、スペイン国王様、王族の方々の御遺骸があった。
内陣には小オルガン2つ、65脚の椅子がある。これは西インドから舶来した4、5種類の木材で作られたもので、非常に厳かで重々しい様子で、加工も立派にされていた。内陣の下にはミサを唱える祭壇がある。
聖堂内の円柱は周囲4パルモの石造りのものが64ある。
ミサを唱える席は4つあるが、3つだけ使用される。
聖堂の入り口の外側には立派な6つの石像があって、それぞれ高さ34パルモある。右側にはマナセ、ヨセフ、ソロモンの像、左側にダビデ、ヨシュア、エゼキエルの像があった。
納室(香部屋か)には階下に窓が13個、階上には7個ある。長さ160フィート、幅36フィートである。
●王宮と修道院のその他のことについて
この修道院には大きな庭が14個、小さいものが12個ある。
7つの塔楼には24の鐘があり、手と足を使ってつく。それはまるでオルガンを演奏しているかのようである。この鐘楼に昇る階段は160段ある。
24年前に着手されたこの驚くべき建設工事には、連続して毎日2千人の人が働いたという。現在、普段は100人の修道者が住んでいる。
内外合わせて一万一千の窓と扉がある。
修道院宿舎の建物は6階で、各階は四角の6棟を有し、1棟ごとに49の窓がある。更に7つの塔楼があり、各塔楼の頂きには、中が空の鍍金した円屋根をもつ尖塔があって、そのうちには12人を収容することができるもの、8人を収容できるものがある。
私たちは、日本語の読み方や書き方をここの修道士に示し、彼らの慈愛に感謝の気持ちを表そうとして、日本の紙と墨、日本文字の一書を携えていた。文庫へ行ったとき、彼らは多種多様な諸国の文字、中国の文字すら載っている一書を私たちに示した。彼らの文庫には日本文字の書かれたものがなかったので、彼らはその修道院と文庫とに私たち日本人来訪の記念をとどめるため、何かを書き残してほしいと言った。そのため、ロヨラ様は鳥の子紙に「使節が来た時」「使節がどこからなぜ来たか」「スペイン国王様や修道院についての讃辞」を、日本文字にスペイン語の訳文を添えてお書きになった。また、長老様が日本文字で十戒を書いてほしいとお求めになったので、そのようにされた。
(2014.01.02 作成)
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