恋風旅路 >> 恋風旅日記 >> 山梨マメ旅日記 >> 当日


+旅当日+(東京〜甲府〜甲州〜甲府〜東京)

〜行きあたりばったり〜
久しぶりの早起き。寝ないようにしながら、無事に都内へ行く電車に乗り換え成功。時間指定したのは自分だけど、ちょっと眠い…じろーさんにも申し訳ないことをしてしまった。そういえば、レンタカーの予約をじろーさんに頼んでしまっているのだ。重ね重ね申し訳ない。
外に流れる景色を見ていると、じろーさんから「レンタカー確保できました」とのメールが。おぉ、やった。これは前もって準備しておくことだけど、前日遅すぎてすでに予約できなかったのだ。ホッとしたのも束の間、私も確認しておくことを思い出した。

〜「1時から役員会」〜
乗り換えの駅で降り、じろーさんと合流する電車を待つ。空き時間で、山梨のとあるお寺に電話。これまた朝っぱらから申し訳ないのだが、仕方ない。電話からは人の良さそうなおばさまの声が聞こえた。
お寺のおばさん「はい、もしもし」
私「おはようございます。朝早くにすみません。わたくしカツタと申しますが、そちらに『虚空蔵菩薩画像』という絵があるって聞いたんですけど」
おばさん「ああ、はい。あの絵のことですね」
私「急で申し訳ないのですが、今日これから見せていただくことはできますか?」
おばさん「…あー、今日は1時から役員会なので…そのくらいに来ていただければ大丈夫だと思いますよ」
私「午後ですね。わかりました」

意外にすんなりOKが出た。

〜栖雲寺の『虚空蔵菩薩画像』〜
『虚空蔵菩薩画像』…有馬晴信を描いたと言われる絵です。インターネット上に文章はあったが、画像は載っていない。ぜひ見たい。終焉の地だけじゃなくて、絵も見たい。ただ、この絵を保存されている栖雲寺(せいうんじ)というお寺が、駅から非常に遠い。ネット上で調べてみると「甲斐大和駅から徒歩1時間半」。歩くのは苦ではないが、時間がなあ…。じろーさんに無理矢理車を頼んでしまったのも、これが見たかったから。じろーさんは
「どうせ行くなら見なくちゃですよね!車なら任せてください!」
と快く引き受けてくださった。
恐縮するとともに、彼女の明るさに救われた。

〜これからの予定〜
実は晴信終焉の地、最寄り駅はJR中央本線の甲斐大和駅。合併して今は甲州市になっている。私たちは甲府駅でレンタカーを借りているので、そこまで電車で行ってから、東京方面へ戻る感じで車を走らせることに。
車内では大学生のような子たちがざわざわしている。みんなどこ行くんだろ?荷物の大きさから、「合宿ですかねぇ〜」などと、じろーさんと推理して遊んだ。どんどん山が深くなって、近付いてくる。わくわくするな〜。

〜山梨に着きましたよ〜
何回か乗り換えをして山梨着。実は2年くらい前に社員旅行で来たので、懐かしい気持ち。
「お昼どうしましょう?」
「コンビニでいいですかね〜」
しゃべりながら、駅を出るとファーストフードのお店が。
「マックでいいですかね〜」
「そうですね」
じろーさんが食にこだわらない人で良かった。遠くにくると、名物を食べたくなるというのが観光客の心情。ここで
「絶対ほうとうが食べたい!」
などと言われたらどうしようかと思っていた。まあ暑かったし、これだとほうとうはちょっとね。でもほうとう大好き。寒かったら私こそダダをこねるところだった。危ない危ない。

〜おにぎり信玄さん〜
本日の昼食を手に入れ、レンタカー屋へ出発です。
「あ、信玄の銅像があるみたいですよ」
「ほんとだ〜」
木の葉のあいだから、銅像がちらちら見えている。こころなしか早足になる私たち。
「でかっ!!」
目の前に現れた信玄さんはでかかった。座ってる像なんだけど、なぜかでかい。上野の西郷さんもかなりでかかった。でもボリューム感では負けてない…気がする。堂々としている。私は
(おにぎりみたい…)
とふと思っていたが、じろーさんに変な人だと思われないように黙っていた。

信玄像 駅前ロータリーのかたわらにある信玄さんの像。
実際に見ると結構大きいです

〜ライフスタンバイ〜
今さらコンビニが発見されました。でも無視してレンタカー屋さんへ。駅から一本道です。歩いてみると結構遠いけど、道は平坦だし問題なく到着。じろーさんはトランクを転がしてるので大変だったろうな。何か手伝えばよかった。いつものことだけど気がきかない。
レンタカー屋さんの前には、クリーム色のライフがとまっていた。じろーさんによると、前回もライフだったそうだ。今にも発車しそうな位置にスタンバイしてるので、
「きっとあれに乗るんでしょうな」
とコソコソ話しながら、お店の中へ。じろーさんが手続きしているあいだ、お店のお姉さんを観察しながらおとなしく待つ。

〜傷なし、OK〜
慣れた様子で手続きを終えたじろーさんとともに、やっぱりライフへ。レンタカー借りるのって大変なんだなあ。いつも気楽に電車乗ってたから知らなかった。本日お世話になるライフさん、新車っぽい。外側ぴかぴか。車内もホコリなんてない。
「傷の確認してください」
そんなのするのか〜。もっともらしく私も傷確認。
さて、車に乗り込み、いよいよ晴信さまのもとへ繰り出しますよ。

〜カーナビを…〜
私たちはまずお寺に行くことに。晴信終焉の地は住所しかなくて、カーナビに登録されてないと思ったからである(しかも、やっぱり登録されてなかった)。晴信だと伝えられている絵がある栖雲寺は、名前までちゃんと登録してありました。カーナビって素晴らしいなあ…私が設定に手こずっていると、経験者のじろーさんがテキパキと設定してくれました。う〜む…役立たずが助手席に座っていいもんだろうか。

〜さらにカーナビを…〜
「これ、CDも聴けるんですか」
機械のボタンとか大好きな私。カーナビに夢中である。
「どこからCDを入れるんですかね」
ガタガタいじりながら、じろーさんの運転の邪魔をしている。
「そこの画面が上がるんじゃないですかね。どこかに開けるボタンがついてると思いますよ」
ちゃんと相手をしてくれるじろーさん。優しい。
「あ、ここか!」
やったぞ。画面が上がって、CDの入口が登場した。しかし、CDを聴くわけではない。開けてみたかっただけである。
「あれっ、これ戻りませんね」
画面が上がりっぱなし。これじゃ道が見えないぞ。
「だめだ、これ」
ガチャガチャと力ずくで戻そうとしてみる。こういうところがガサツで適当。
「あ、戻った戻った」
上を向いていた画面をなんとか覗いて、開閉ボタンが押せた。
「これ、だめですよね。画面が上を向いたらボタンが見えないじゃないですか」
そしてケチをつける。自分は力ずくで戻そうとしてたくせに。とりあえず壊さなくてよかった。

〜そこはかとなく〜
途中、コンビニの駐車場で昼食をとる。私は出発したあともダラダラ食べ続けてたが、じろーさんはさすがだ。テキパキしてる人ってかっこいいなあ〜。食後にコーヒーも飲んでおられた。そこはかとなくカッコイイ。ちなみに私はコーヒーを飲むと胃が痛くなるのでだめです。役立たずな上にかっこわるい。
「あ、100円ショップがありましたよ!」
助手席で景色を眺めていると、じろーさんが100円ショップ発見。実は100円のスピーカーで、ウォークマン(今はMP3というのか?)の中に入っている曲が聴けるというのです。私は知らなかったのでびっくりです。曲を車の中で聴こうというじろーさんの素敵な試みです。

〜お見事です〜
100円ショップで降りて、スピーカーを探しにいく。私がガムを買っていると(すでに探していない)、じろーさんは見事にスピーカーを見つけだしてました。たぶんテレビとかにつないで、近くで音を聞くためのスピーカーなのかな。しかしこれでMP3の曲を聴こうと思い付くなんて、頭いいなあ。これって世間じゃ当たり前なのかしら?
車に戻って、じろーさんのMP3につないでみると…電池がきれてるのか、電源が入りませんでした。じろーさんは何度も謝ってたけど、どうか気にしないでください。お気持ちだけでこちらは嬉しかったです。
(後日、じろーさんが聴かせて下さろうとしていた曲を無事に聴けました。じろーさんおすすめの「タブラトゥーラ」というグループの曲です。かなり使節な雰囲気で素晴らしいですよ!)

〜山っぽくなってきた〜
さて、車は市街地から郊外へ出て、さらに山に迫っていきます。
「もしかして、あの山の中に入るんですかね〜…」
「入っちゃいそうですね〜…」
そんなこんなで、やっぱり山に突入。あっち側は崖だ…こわ〜…しかも、この道は雨が降ると通行止めの場合もあるらしい。よかった、今日晴れてて。カーナビに従って、国道を左折です。

〜いよいよ山道だ〜
国道をそれて、対向車もほとんど来ない道を進んでいきます。とうとうセンターラインも消えた!もう、普通に山のぼってる。
「歩きじゃなくて本当に良かったですね〜」
「そうですね〜」
本当に歩きじゃなくて良かった。これはまずい。歩くのはいいのだが、時間がかかりそう。私たちのライフはのろのろ登っていった。そうか、軽自動車ってこういうとき力がないのか。
「ギアをセカンドにしてみたらどうですか」
また余計なことを提案してみる。
「セカンドにしたら止まっちゃいますよ〜」
さらりとじろーさんの突っ込み。セカンドにするのは下りの時だ。この後に及んで、まだボケている私。いちおう免許持ってるのに。

〜着いたー!〜
対向車が来なくなった。途中に何かの施設(温泉??)があったけど、誰も通らない…ほんとに歩きじゃなくて良かった。カーナビに従って、軽で頑張ってのぼっていくと、それらしきところへ着いた。
「あ、ここですね〜」
カーナビは「音声案内を終了致します」だって。なんか意味もなくかっこいい。駐車場に留めるのも気がひけて、車は道ばたへ。
「誰も来ないし、道も広いから大丈夫ですよ」
いい加減なことを言って、いよいよ栖雲寺へ行きますよ。

栖雲寺へ この階段を登ると境内です

〜役員会ですな〜
お寺には役員会の方々が集まっておられました。誰に申し出ればいいのか…うろうろしていると、じろーさんが
「きいてみましょうか」
入口の方に立っている人のところへ駆けていった。おおう。私はこういうときイマイチ恥ずかしがりなので、助かるな〜〜。1人の時はいつもしばらく経ってから、やっと人にきくという有り様。その方にきいてみると、このお寺の人じゃないからわからないとか。
「あ、今ちょうどご住職が出てきましたよ」
教えられて、今度はご住職にきいてみる。
「すみません、午前中連絡したんですが、この絵を見にきました」
「え?どれ?」
ご住職、どうやら話を聞いてないらしい。しかし、私がサイトをプリントしてきた紙を見て、
「ああ、これね。今ちょうど蔵がひらくから、ついでに見ていいですよ」
と、快く許可してくださった。

〜ご対面です〜
本堂のわきに、大きな蔵がある。入口は高くなっていて、階段でのぼるのだ。今、そこに何人か集まってなにやら始まるみたい。後ろで見ていると、最初に話しかけたおじさん(お兄さん??)が入れてくれた。おじさんたちは同じ蔵に入っている別の像を撮影しに来たそうな。大事な文化財らしいです。そして私たちの求める絵は、蔵の中の右手、ガラスケースの中に、晴信と伝えられている『虚空蔵菩薩画像』がありました。

〜椅子に座ってる像〜
十字架持ってる…菩薩なのに。だから晴信を描いたと言われるのか。この絵は掛け軸になってました。十字架のところを隠せば、よくお寺にいらっしゃる菩薩さまと変わらない。解説の紙が置いてあったので読んでいると、後ろで撮影が始まった。絵に気をとられてたけど、ここの像もなんだか不思議である。椅子に座ってる(たぶん)木彫りの像。お坊さんの姿を彫ってあるのだが、ちゃんと靴まである。椅子は彫ってあるんじゃなくて、椅子なのである。椅子に像が座ってるという感じ。じろーさんはそっちを見ていた。
「大学の研究か何かで来たんですか?」
不思議に思ったのか、さっきのおじさんが話しかけてきた。
「はあ、そんな感じです」
じろーさんあっさり。まあそんな感じですよね。

〜れ、レプリカだってさ〜
撮影が本格的になってきたので、そろそろお暇することに。
「すみません、ありがとうございました」
声をかけて去ろうとすると、おじさんが
「あ、その絵レプリカだけど、よかったですか?」
あ、レプリカだったんだ…絵画の研究をしてるわけじゃないから特に気にしないけど、何かが微妙にショック。
「あ、いいですいいです。どうもありがとうございました」
あまりゆっくり見られなかったな〜…でもいきなり押しかけたのに、見せていただけて良かったです。栖雲寺さま、ありがとうございました。

〜富士山はいずこ〜
「そういえばここから、富士山が見えるんですよね」
じろーさん、ふと思い出す。そういえば私もどこかのサイトで見たなあ。
「庭から見えますかねぇ…」
ここのお寺には、斜面を利用した立派な庭があるのだが…
「あ、有料なんだ…」
お金入れる箱が立ってる。2人ともしぶる。
「違うところからも見えるかもしれないですよね」
「そうですよね」
ということにして、お寺をあとに。このお寺には、本堂のわきに、分校の建物がありました。時計が止まってたから、もう使ってないのかな。

〜探検家の血は空振り〜
さて、道路に出てきて、富士山がないか探してみる。見晴らしはいいのだが、やっぱり見えない。
「あ、ここ散歩コースみたいなのがありますよ」
道路から下へ降りる細い道があって、標識が立っている。
「行ってみましょうか」
「そうしましょうか」
2人とも探検家の血を持っているのか、おもしろがって行ってみることに…
「…あれ??」
道がないのである。いや、少しあったのだけど、その先が草で見えない。
「なんかやばそうですね」
近くに道案内の看板があったので、見にいってみた。
「あの道、川の方に行くのか…」
「富士山ってここから見えますか?」
じろーさん、いつのまにか看板の前にいた親子連れに話しかけてる。だから地元の人とも仲良しになれるのだな。恥ずかしがりとしては、うらやましい限りである。

〜富士山不発〜
教えてくれた人々によると、富士山はもう少し山を登れば見えるかもしれないとのこと。ついでに、散歩コースみたいなのは下の川に出られるが、険しい道だそうな。私たちは車に乗り込み、上を目指すことにした。
「道が下りになるまで行ってみましょう」
しかし、行けども行けども富士山は現れず。木も繁っているので見えない。そのうち、下りになってしまった。
「ないですね…」
よく晴れていたのだが、私の探し方が悪いのか、やっぱり見つからなかった。
「あのへんにあるってことにしておきましょう」
ということにして、戻ることに。冬なら見えるかな〜。

〜さあ、推理してください〜
下りは速い。上りで苦労してたライフも楽そうですな。ちょっとした駐車場にとまって、次の目的地をカーナビで検索してみる。
「…やっぱりないですね…」
そう、いよいよ有馬晴信終焉の地です。正式名称(というのか?)は「有馬晴信謫居(たっきょ)の跡」です。亡くなった場所ではないのかも。いちおう住所はわかってるので、だいたいの位置は予想できるのだが…そして手がかりは、道沿いにあると思われるカーブミラーである。これはネット上に写真が載ってた。カーブミラーの下に、『キリシタン大名有馬晴信謫居の跡→』の小さな看板がくくりつけられているのだ。この写真の背景は山である。それはいいのだが、この写真は古そうだ…。ここで手がかりを整理してみよう。
・甲斐大和駅と甲斐大和の「道の駅」の間にある(住所から推測)
・おそらく国道20号線から見えるところに案内版がある(写真から推測)
ただし、案内版はすでにない可能性が高い。
「とりあえず行ってみましょう」
カーナビに従って、下山。

〜花より団子だよね〜
いよいよ「使節ゆかりの地めぐり」らしくなってきました。日本国内の使節ゆかりの地は、どこも静かで穏やか、言い換えると寂しい…場所が多い。私はそういう場所の方が好きなので、栖雲寺では何やら違和感を感じていたのだ。そうか、人がたくさんいるから何かムズムズしたのだな。すぐ見つかる場所も楽でいいけど、頑張って探して、ひっそりとしてる場所に会いにいくのも、いいのではないでしょうか(この場合、不審に思われがちだけど)。
それはいいけど、案の定見つからない。
「私は看板がないか探しますね」
はりきってみたものの、やっぱり見つからない。そのうちに道の駅まで来てしまった。
「中に入ってみましょうか。地図とかあるかもしれない」
「そうしましょうそうしましょう」
数分後、2人はソフトクリームを買っていた。だって、喉かわいたんだもん。腹が減っては何とやらって、昔の人も言ってることだし。

〜救世主軍団あらわる〜
アイスを食べながらも、地図らしきものを探してみる。地図はあるけど、載ってない…。食べ終わって建物の裏に行ってみても、違うほこらがあるだけ…。
「きいてみましょう」
やれることはやった。ぶどうを売っているおじちゃんおばちゃんにきいてみることに。
「すみません…このへんに、有馬晴信タッキョの跡ってありますか…?」
ご存じなさそうだなあ…と、半ばあきらめ気味である。
「有馬?」
おばちゃん、やっぱり知らないかな。
「この住所なんですけど」
サイトをプリントした紙を見せてみた。
「あ、これってあそこじゃないの」
まわりのおじちゃんおばちゃんを巻き込み、みなさんでワイワイ相談なさっている。なんだか、希望が出てきましたよ。
「ここから2つ目の信号のわきに、ちょっと車をとめるところがあるから、そこから歩いていくといいですよ。すぐわかると思いますよ」
手がかりが具体的になってきた。私たちはよくわからないながらも、行くしかないと思い、お礼を言って道の駅を出発。あ、ぶどう買えばよかった…。

風林火山の旗 道の駅にあった旗。かっこいいなぁ〜〜

〜ちょっと車をとめるところ〜
「とりあえず、ちょっと車をとめるところを探しましょう」
私たちは信号に注意しながら、ちょっと車をとめるところを探して走る。
「…あれ?今の場所ですかね」
「う〜ん…もう少し行ってみますか」
それらしき場所があったのだが、甲斐大和の駅の方まで行ってみる。
「さっきの場所で良さそうですねぇ…」
一度Uターンして、それらしき場所へ戻ってきた。脇道に入って車をとめて、捜索に出発!

〜あ!!〜
信号を渡ろうとしたところで、じろーさんが「あっ!」っと叫んだ。その視線の先には、
「有馬晴信謫居の跡」
の看板が!おお!手押しボタンの信号が青になったとたん、私たちは駆け出した。
「わ〜〜!!」
(心の中でだけ)大騒ぎなのである。しかし、
「あれ…??」
そこは住宅地の一角で、小さな空き地のようになっていました。う〜〜ん…なんか想像と違うけど、どうなんだろう??でもこれはこれでいい気もする…
「ここですかね…」
拍子抜けしていると、じろーさんが
「あ、もしかして左じゃないですか!?」
と気がついて下さった。草で隠れてて見えなかったけど、看板にはこっそり「←」と書いてあったのだ。おおう。フェイントだ。家の間の細い道を進むと、山のふもとの畑に出ました。

有馬晴信謫居の跡 この看板を左に行きましょう

〜いよいよ来ましたぞ〜

有馬晴信謫居の跡 とうとう発見!

私たちの探し求めた地は、畑の一角にありました。ついに見つけた、「有馬晴信謫居の跡」!やりました!そこは柵で囲われていて、ちゃんと解説版が建っていました。
「来ましたね〜〜…」
「あった〜〜…」
2人で感動。しかし、
「あれ…??」
私は片隅に倒れている、「有馬晴信謫居の跡」の看板を発見。
「なぜ!?」
「どうしてこんなことに!」
今度は2人で爆笑である。よく見てみると、カーブミラーに看板がくくりつけられているみたい。道路沿いに建っていたのに、カーブミラーごと倒れてしまったのか。なぜか笑ってしまったのは、それがいかにも使節関連の地「らしい」なあと思ってしまったからでした。誰もいなかったり、草ボーボーだったり、何も残ってなかったり…でもそういう場所が好きだったり。晴信さまも「しょうがないなァ…」と言ってそうだ。

有馬晴信謫居の跡/倒れ看板 しょうがないなァ…

〜謫居の跡の様子〜

山 「謫居の跡」から山を臨む。
ガードレールの向こう側が国道

さて、看板はともかく謫居の跡自体は山のふもとにあり、今は国道も通って民家があるので寂しい感は薄れてますが、昔はひっそりした場所だったんだろうなあ…という感じです。山は長崎と同じ雰囲気を出せるかもしれないけど、海がないから、晴信にしてみたら寂しいかもしれないなあ…。
「そろそろ行きますか」
しばし晴信に思いを馳せ、お別れです。また機会があったら来たいなあ。そしたら看板は直ってるかもしれないな。

〜今後のために〜
じろーさんが今後のために信号の写真を撮っていたので、私も真似して撮ってみた。信号の名前は「丸林橋西」である。もう迷わないぞ。

「丸林橋西」信号1 「丸林橋西」の信号。こちらは道の駅に向かう道です。
有馬晴信謫居の跡/遠景 上の写真の、ガードレールの切れ目から階段で降りられます。
そこから見るとこんな感じ。
「丸林橋西」信号2 「丸林橋西」の信号。こちらは甲斐大和駅に向かう道です。
有馬晴信謫居の跡 上の写真の、ガードレールの切れ目から降りると、この看板。
ここから左に曲がりましょう

〜なごみの時間です〜
目的を達成した私たちは、意気揚々と甲府駅へ戻る。傾いてきた日ざしが、車内に赤っぽく入ってきている。この色はなかなかいい色だ。さらにラジオで私の好きな曲がかかっている。でもなんだったか忘れてしまった。
「ちょうどいい時間ですね」
朝は早すぎたかと思ったが、予定していた電車にちょうどいい感じ。ライフ返却の前に、ガソリンを入れる。あ〜、そうなのか。これはちょっと大変だな。私はレンタカー屋さんまでにガソリンが減ってしまわないか心配だったが、じろーさんは経験者なので
「大丈夫ですよ〜」
と車を走らせている。そして到着。本当に大丈夫であった。じろーさん尊敬。ライフさん、ありがとう。1日乗るとだいぶ愛着がわくなぁ〜〜。車を予定よりも早めに返却できたので、お金が戻ってきた。やった。

〜さよなら山梨〜
駅への道をトロトロ歩いて、無事信玄さんのところへ戻ってきました。
「…なんかおにぎりみたい…」
あ、とうとう言ってしまった。じろーさんはちょっと笑ってた。
その後、駅でおみやげ購入。今回は信玄餅だけです。山梨に来ると必ずこれ。甲斐大和駅でまた降りたくなる衝動をおさえ、山梨に別れを告げる。帰りの電車では、驚いたことに何もしてない私はグーグー寝て、車を運転していたじろーさんは全く寝てませんでした。

〜おわりに〜
今回もいろいろな方にお世話になりました。まず、同志じろーさん。一緒に行ってくれて本当にありがとうございました。1人ではこの旅は成し遂げられなかったでしょう。非力な私を引っ張っていってくださり、とてもありがたく思います。また機会がありましたらご一緒させてくださいませ。そして栖雲寺さま、急に押しかけたにも関わらず絵を見せて下さり、本当にありがとうございました。道の駅でぶどうを売っていたおじちゃんおばちゃん、道を教えて下さり、本当にありがとうございました。そして使節のみんな、有馬晴信さま、私を導いてくれてありがとうございました。またどこかに行けたらいいなと思います。

ご意見・ご感想、ご質問などがございましたら、掲示板かメールでどうぞ。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


恋風旅路 >> 恋風旅日記 >> 山梨マメ旅日記 >> 当日