恋風旅路 >> 恋風旅日記 >> 長崎旅日記3 >> 2日目


+2日目+(口之津〜加津佐〜諌早〜長崎空港)

〜窓の向こうは…〜
おはようございます。今日もあったかい。相変わらずさざ波の音は続いてる。私は昨日から楽しみにしていた、窓の外をみてみることにした。ドキドキ…ちょっと緊張しつつカーテンを開ける。海がパーッと広がってたりするのだろうか。
「あ…」
目の前は木だった。防風林?防砂林?とにかくパーッとした海ではなく、ちょっとした林が広がっていた。うーむ…仕方ないよね。木の向こうにちらちらと薄い青の海が見える。あとで遊びに行こう。

〜さざ波がうるさくて〜
朝ご飯をいただきに、1階の食堂へ。自分の部屋番号の札が置いてあるので、指定された席につく。部屋のすみの方にいたおばさんおじさんグループが、睡眠について話していた。おばさんはどうやら、波の音がうるさくて明け方に目が覚めてしまったらしい。それは大変…私は素晴らしいと思っていたのだが、おばさんは苦労していたのか。まあそれも旅の思い出ってことで…盗み聞きしていると、朝食が運ばれてきた。うわ〜、おいしそう!ご飯(おひつ付き)と魚や煮物のおかず、お味噌汁。旅先でしか朝食をゆっくり食べられないので、時間をかける。心掛けなくても食べるの遅いけど。他にも若めの夫婦なんかもいた。お客さん結構いたのね。

〜帰りの準備もだけど、ビニール袋もね〜
朝食を済ませ、部屋に戻る。片付けなくては。さざ波の部屋ともお別れ。「くちのつ」の館内案内に、ここまでの道が書かれた地図があった。これ、HPに載せてくれるといいんだけど…何かの時のために、デジカメで撮っておく。この地図どおりに来れば、真っ暗な道を通らなくて済んだかも…むむぅ。たいして下調べしなかった自分が悪いんだけど。片付けを終えてビニール袋をリュックに詰め込み(海で遊ぶため)、荷物を持って出発。ありがとうさざ波の部屋。私にとっては贅沢な気分になれるお部屋でした。

〜広いぞ広いぞ〜
フロントでチェックアウトを済ませてから、「くちのつ」のおじさんに荷物を預かってくれるように頼む。おじさんは快く引き受けてくださった。どうもありがとうございます。海で遊んできます。入り口を出て右に行き、少し坂になっている道を下ると、そこはもう砂浜。引いては寄せる波が目前に迫っている。右の方にぐるっと砂浜が広がっていて、奥は港みたいになってるのかな。小型の船がとまっていて、人もちらほら。

〜この浜の特徴は〜


自作パノラマ。広々とした景色を伝えたくて、2枚つないでみました

「白浜」という名前にふさわしく、砂の色が明るい色できれい。コルクボードのような色を思い浮かべていただけると、結構近い色合いだと思われます。さて、そろそろ始めますか。恒例の貝殻・ビーチグラス拾い。これがまた夢中になってしまう。拾っているうちに、あることに気が付いた。ガラスが少ない。貝殻のかけらが大きい。より自然に近い浜なのかな。私は拾ったあとの貝殻たちをビンに入れて保管しているので、入りそうな大きさのだけ拾うことにした。さっき食堂にいたおじさんおばさんたちも散歩してる。12月だというのに、普通の冬の格好をしてれば暑くなく寒くない陽気。凍えながら過ごすと予想していたのだが…しかも海だから、風ビュービューかと思ってた。全く風がないのですよ。ものすごく穏やか。

〜名残り惜しいですが〜
階段に座って、遠くの海をすべっていく船を見ながらぼんやりしていた。こんな時間も必要だよね…いつも急がされて、あくせくしながら過ごしていたから、久しぶりにほっとする時間でした。さて、そろそろ行かねば。浜の出口でもう一度振り返り、景色をよーく見て目に焼きつけました。また来たいなあ…。

〜昨日の道はどんな道〜
売店でおみやげを買って、フロントのおじさんから荷物を引き取る。お世話になりました。帰りは駅まで地図の通りに行ってみようかなと思ったのだが、昨晩の道がどのようになってるのか知りたかったので、来た道を戻ることにした。地図があるとはいえ、知らない道に行って迷ったら嫌だし。

〜団地だった〜
明るいと印象もだいぶ違います。昨日電気がなくて真っ暗だった道は、素敵な木陰の道でした。隣にある掘り(水路?)はそれなりの深さですが、水はほとんどない。なんだ〜。そして例のホテルのような豪邸は、「くちのつ」の地図によると「白浜団地」だとか。えーっ。団地?こんなおしゃれな団地はみたことないぞ…。日曜日の午前中らしく、中からは食器を洗う音や子どもの声が聞こえてきた。そういえば日曜の午前中から起きてるのなんて何ヶ月ぶりだろ。

〜島鉄のはじっこです〜
さて、今日はこれから加津佐町に行ってみます。原城に行こうか、このまま島鉄のはじっこ加津佐まで行ってみようかと迷ったのだが、どうせなら島鉄を制覇しようと思ったのだ。諌早から白浜海水浴場前までは昨日通った。残るは加津佐のみ。加津佐といえば…そう、活版印刷の聖地!青山敦夫先生の本もしっかり読んできました。日本で初めて活版印刷が行われた地。それが加津佐。海水浴場前からは一駅なのですぐ着いた。お客さんは私の他に中学生くらいの女の子が1人。女の子のあとにつき、加津佐駅の駅舎に入る。静かで小さな建物。無人ながらトイレもコインロッカーもついていた。なんだか懐かしい雰囲気。

〜気合い充分〜
さびついたコインロッカーに荷物を詰め込み、鍵をかける。引き抜いた鍵もやっぱりさびついていた。でもコインロッカーがあってよかった、しばらく歩くことになりそうなのだ。これから目指すのは「天辺の丘」、そうです、実際に活版印刷が行われた(と思われる)場所に行ってみることにしたのです。ここにはセミナリヨもコレジヨもあったとか。「ここまで来たからには〜〜っっ」とやたら意気込んで、駅を出発。客待ちのタクシーがいた。わからなかったらあのおじさんに連れていってもらおう。まずは地図を入手だ。コンビニに入るぞ。

〜ありゃ〜
……。
地図なかった。
お店のお姉さんにきいたけど、やっぱりないんだって。島原半島の地図はあるけど、このへんだけの地図はないんだって。申し訳なさそうなお姉さんにフォロー。
「このへんの地図は、あの看板に載ってますよね」
「あ、そうですね」
お礼を行ってコンビニを出る。看板は二またに分かれた道の間にたっていた。こんなだいだいな位置じゃわからん…方角しかわからん…仕方ないので奥の手だ。長崎に来る時にはいつも持ち歩いている、『長崎県の歴史散歩』。しかしこの本の地図、私はあまり好きじゃないのだ。いわゆる学校の授業で教わる地図。白黒で等高線とか引いてあるやつ。しかも小さい。読めないことはないけど…今はコイツだけが頼りだ〜。

〜今回のカンは当たるかな〜
地図によると、二またに分かれた道の右を行くらしい。この本、ちゃんと加津佐のセミナリヨとコレジヨのことが載ってるのですよ。素晴らしい。ちょっとした商店街のような道を歩いていきます。最初の目標は町役場。役場は左手にすぐ現れた。「地図とかないかな〜」と思ったが、役場自体がお休みでしまってた。そうだ、今日日曜だった。がっくり。気を取り直して、次の目標はお寺。もしかして、ちょっと奥まった所にあるのかな。なかなか出てこない。なんかJA出てきた。農協なんて載ってないぞ。しかも道分かれてる…。まあいいか、たぶん山だから右に行こう。山は右側にあるから。…という感じに、カンに頼って歩いていくと…

〜カン、運よく当たる〜

解説板がこんな所にありました

右に曲がる細い道に、「円通寺跡/コレジヨ跡」の案内板発見。やった、ここだ!案内板は助かる。車1台が通れるくらいの道を登って行く。そう、もう坂道なのですよ。山を登っているのですよ。すでに昨日の運動で筋肉痛。今日は大荷物がないから楽だけど。その後もちらほら案内板がたっててくれたので、ほぼ迷わずに行けました。1回間違えただけ。上の方に登っていくと、だんだん住宅地に。ある家の前に、「セミナリヨ・コレジヨ跡」の解説板があった。こ、こんな所に…すみません、ちょっと撮らせていただきます。なんか家撮ってるみたい…植木が素晴らしく、建物自体は見えないからいいだろう…。デジカメの残り枚数1枚。これは天辺の丘に立った時に、眺めを撮影したいのでとっておくのだ。

〜想像どおり〜
何日か前に読んだ『活版印刷紀行』によると、天辺の丘までは解説板からもう少し登っていくらしい。そのとおりに登ってみる。家が増えてきた。ここに住んでる方たちは、毎日この壮大な景色を眺めて暮らしてるんですね。海なし県に住んでいる者としては信じられませんなぁ…。どこまで行けばいいのかわからないので、住宅地の終わりまで登り詰めてみる。畑の一段上に、空き地みたいになっているところがあった。このあたりにしておこう…ススキなんかも生えてて、私のイメージに合ってるし。イメージ合っててもどうしようもないけど。

〜行けるよ〜
空き地に立ち、海を眺めてみる。天辺の丘は崖になってたそうな。ということは、下に広がる町はない。あの島はあったかなあ…と、いろいろ考えてみた。地面に何か落ちてないか探してみた。落ちてないってば。活字の母型とか落ちてないかな。ここだったかどうかもわからないんだから、見つかる確率は0に近いんだけど。思えばこの「天辺の丘」を初めて知ったのは、高校の図書室だった。「行ってみたいなあ…」とぼんやり思っていたが、本当に来られるとは。あの頃の自分に教えてあげたい。

〜今回はこれまで〜

天辺の丘からの眺め。
前方にうっすらと見えるのは岩戸山

登り道は終わっていたが、まだ奥に道がある。行ってみようかとも思ったが、駅まで引き返さなくてはいけないので、本日はここまでにしておいた。セミナリヨ・コレジヨ跡(の解説板)を発見、そして天辺の丘に登っただけでも大収穫。帰りは海を眺めながら山を降りる。ドラードも、仕事で疲れた時にはこんな景色を眺めたりしただろうか。またこの景色を眺めにきたいです。怪しまれながら住宅街の細い道を登って。

〜便利なんだけどね〜

気に入った案内板。あいにく低解像度…

さて、いつもどおり早めに行動して、予定より30分以上前に駅に到着。道の向かい側が小さな公園みたいになっていたので、見に行ってみると…
「加津佐 コレジヨ セミナリヨ跡」
小さな看板発見。ダークグリーンに白抜き文字、なかなかアンティークな雰囲気。しかも一番上に十字が彫ってあるエンブレムがくっついてる。うわ〜〜、デジカメで撮りたかった…。携帯にくっついてるカメラの、解像度が高い設定で撮ってみたが…これは添付で送れないんだって。なんでだ〜〜っ。携帯変えたら終わり?なんのための高解像度…。

〜何か発見〜
加津佐駅前のバス停で、諌早行きのバスに乗り込む。これからまた長い旅です。1時間半くらい乗ってるのかな。そんなに長くないか。私の他には、女の人が1人。出発してすぐ、加津佐の海水浴場が見えた。あ、ここ来ればよかったなあ。時間あったし。キリシタン墓碑があるんだっけか…?ちょっと悔しい。北上するバスはほどなくして、海沿いの道を走り始めた。お〜〜…素晴らしい。途中、時間調整でしばらく停車。ふと窓の外を見ると…
「……!?」
岩がある。でもなんだろう、あの岩は。上の方がでかくて、下に行くにつれて細くなってる。人間の頭と首みたいなのだ。どうして立ってられるんだろう。なんかポキっと折れちゃいそう。一瞬迷ったが、携帯を取り出す。ああっ、バスが発車してしまった。それっ。…カシャ。

〜びっくりしたァ〜

見えますか〜?左の方に不思議な岩が…

携帯の汚い画像だったが、無事カメラにおさめられた。いつか、また来た時にも確認できるように、バス停の名前もメモ。
「津波見バス停付近…」
ああ、びっくりした。しかしすごいものを見た気分。地元のみなさんは当たり前の景色なのだろうが…
*後日談/調べてみたら、加津佐町のHPに載っていました(現在は合併しているのでHPがありません)。双子岩っていうんですね。昔は2つ立っていたとか…これが2つ?見てみたい…。

〜睡眠睡眠、また睡眠〜
バスは南串山町、小浜町、千々石町と順調に通過。私はずっと寝ていたので、見ようと思っていた小浜町の温泉街も、千々石の町なみも見られなかった…ちょっと後悔。すっかり目を覚ました私を乗せて、いよいよ諌早入り。おー…島原半島一周したー…なんか感動。いつのまにかお客さんがたくさん乗ってました。小学生くらいの女の子が二人、諌早の町中で降りていった。買い物かな。小学生の頃は、友達どうしで街に繰り出すのが大冒険だったなあ。すごく楽しみだった。ぼんやり懐かしがっていると、終点諌早のバスターミナルに到着。ここからまたバスに乗り、空港に向かいます。

〜お土産買うわよ〜
友人の強いすすめにより、空港でちゃんぽんをいただくことに決めた。いつもどおり、バスの中で使節の像に別れを告げて大きな橋を渡る。空港でチェックインを済ませたあと、まずはおみやげ。そろそろ買うものがなくなってきたんじゃないか…と思いきや、またまたたくさん買い物。辛子明太子を手に入れようと、店のおばさんに「どれが有名ですか」などと尋ねる。一通り買い物を済ませ、レストランへ。ちゃんぽんおいしかった〜。今回は1泊2日だったので、遅めの飛行機にしておいてよかった。明日仕事だけどさ…ドンヨリ。明日のことは考えないでおこう。

〜最後にもいいもの見た〜
帰りの飛行機は夕暮れだった。空は曇っていたのだが、飛行機が離陸、雲を抜けると真っ赤な夕日が沈もうとしているところだった。やっぱりこの時間にしておいてよかった〜。夕日が赤く細い線になって、消えてしまうまで見届けた。その後睡眠。飛行機が揺れててちょっと恐かった。ガタガタとした揺れで目を覚ますと、飛行機は羽田空港に着陸していた。こうして1泊2日の居眠り旅は幕を閉じたのでした。

〜おわりに〜
今回もいつもどおり、たくさんの人にお世話になりました。フェスティビタス・ナタリスの実行委員会の方、楽しい夜をありがとうございました。使節のパネルを作ったのはどなたでしょう?素晴らしかったです。「くちのつ」のおじさん、「夕飯なしで」という希望を聞いて下さってありがとうございました。その他、関わったすべての方たちに感謝です。ありがとうございました。「またか」という感じで旅をすんなり許してくれた母もありがとう。そして毎回、私を旅に導いてくれる使節のみんな、ありがとう。またどこかへ連れてって下さい。

〜おまけ〜
すっかり恒例になりつつある、お土産紹介。今回はどのようなものを手に入れてきたのでしょうか。

●北有馬にて
・ボーロ
●「くちのつ」にて
・焼きタラ棒
・雲仙おいもサブレ
・口ノ津手のべうどん
・竹炭うさぎ(かなりかわいい)
●空港にて
・おたくさ
・びわゼリー
・福さ屋明太子
・ハウステンボス アニーおばさんのチーズケーキ(チョコ)
・キティちゃんタオル(びわ)…妹へのおみやげ
・キティちゃんシャーペン(チューリップ)…友人へのおみやげ
・よりより

*このくらいがちょうどいいような気がします。3回目にして、とうとうカステラがなくなった…
*アニーおばさんのチーズケーキは、私の周りはみんな「おいしい」と言ってました。しっとりしてて好きです。
*竹炭うさぎはこれ↓ 一目ぼれして買いました。まだ袋から出してません。

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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


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