恋風旅路 >> 恋風旅日記 >> 長崎・熊本旅日記 >> 3日目


+3日目+(天草下島〜熊本空港)

〜遅い夜明けです〜
天草の朝です。なんか暗いなあ…窓を開け、身を乗り出すと右の方に海が見える。やっぱり海側の部屋がよかったなあ…なんて思いながら仕度をしていると、日が差してきた。そうか、曇ってて暗いんじゃなくて、山があって太陽が見えなかっただけなんだ。毎回思うけど、九州は山も海もあっていいところだなあ。

〜珍しくひかえめな朝ご飯〜
朝食をいただきにレストランへ。バイキングだ!あ、奥の方に洋食があったんだ…パン食べたかった…。昨夜の夕飯がまだお腹に残っているのか、そんなにしっかり食べたくなかったのだ。いつもは、旅の時は朝ご飯をしっかり食べるのだが。もうご飯取っちゃったし、まあいいや。朝からふんだりけったり。レストランの窓からは海がよく見えました。

〜どうしても不安だったので〜
部屋に戻る前に、フロントに寄ってみた。フェリーとバスの時間をきくためです。昨日のおじさんの話だと、今日は本渡港に行くお客さんがいるので、私もそれに便乗して本渡港からフェリーに乗り、熊本港へ渡って空港まで行く予定なのだ。これは昨日、例によって気の弱い私が半ば押し切られるような状態で決まったので、当初の予定ではない。なのでフェリーの時間も、熊本空港までのバスも調べていない。それがどうしても不安なのだ。やっぱりツアーじゃなくて個人の旅だし、乗り物も時間も自分で決めてちゃんと間に合うかどうか、いつも全て計算して動いているせいか、時間がわからないと不安でしかたないのだ。たまに小心者。フロントのお姉さんにきいてみる。
「おはようございます」
お姉さん、会計かと思ったらしく領収書を探している。
「あ、あの、支払いはまたあとでします…フェリーの時間を知りたいんですけど」
お姉さんはすぐに調べてくれました。さらに、熊本港から空港までのバスをきくと、時刻表がなかったらしく、すぐに調べて連絡してくださるとのこと。なんか面倒なことお願いしちゃったなあ…すみません。とりあえず部屋に戻ることに。

〜掛け軸が気になる〜
部屋に戻って、出発の準備。掛け軸があるんだよね…実は昨日から気になってたんだけど、気にしないフリをしてたんだよね…。もう出発だし、思い切ってめくってみる。裏側にお札がないかチェック。…なかった。よかった…。もしお札が貼ってあったら、その部屋は何か出るということらしい。出たところでそんな能力もないので何も感じないんだけど。

〜オッチョコチョイなんです〜
フロントから部屋に電話。バスがあるかないか、調べてくれました。どうやらフェリーから接続するバスがあるらしい。よかった。お礼を言って電話を切る。あ、今気がついたぞ。バスが何時に空港につくかきいてないじゃん。あー…小さいころからあれほど言われてきたのに、あんたはオッチョコチョイだって。抜け目なくやってるつもりでも、いつもどこかで何かを忘れているのだ。すぐ置き忘れるし。あー…でも今からフロントに電話するのもなんだかなあ。きっと間に合うだろう、飛行機は4時だし。何か忘れてすぐ落ち込むけど、立ち直りも早い。

〜それでもなんだかユウウツ〜
準備もでき、部屋でダラダラしているのももったいないので、下に降りてみることに。支払いを済ませると暇人になってしまった。ホテルの庭にアズレージョらしきものが見えたので、見に行ってみることに。お土産屋のおばさまたちが「ありがとうございました」と見送ってくれました。すみません、また戻ってくるんですよ…ちょっと会釈だけして庭へ。

〜あ、ここにも〜

ホテルのアズレージョ 右上にいる4人の人陰が使節。

アズレージョの絵柄の中に使節がいました。やっぱり天草は使節のことを大事にしてくれてる気がする…。写真だけ撮ってまたホテルの中へ。お土産屋をのぞいてこようかと思ったが、ほかにお客さんがいないのでなんだか気まずくて行けなかった。ホテルのソファでボーっとしていると、フロントのお姉さんがお茶を持ってきてくれました。
「送迎の時間までだいぶありますので…」
と、ちょっと笑って去っていかれた。すみません、ちょうど喉が渇いていたんです。ありがたい。なんだかとっても嬉しかった。

〜悩んでるだけじゃもったいないよね〜
お茶を飲み干し、フロントの前でウロウロしていると、従業員の上品な感じのおばさまが出てきた。湯のみのお茶碗を返しがてら、荷物を預かってもらう。ここでモンモンとしていても仕方ないので、海に行ってみることにしたのだ。浜はないけど、海を見てればちょっとは気が晴れるかなと思って。

〜やっぱり拾ってしまう〜
浜はなかったけど、片隅に石や岩が集まってるところがあったので降りてみた。やっぱり貝は少ないなあ…ビーチグラスなんか全然ないし。石がゴロゴロしてるから、細かいビーチグラスなんかは下の方に落ちて埋まってしまうんだろう。天草の貝を記念に持って帰りたかったので、小さな貝を1つと黄色いビーチグラスを拾ってポケットにしまいました。このくらいなら自然破壊にならないかな…。

〜どこかに落ちてると思うんだけどなあ〜
急に思い立った。活字だ。活字を探そう。私は打ち寄せてくる波際を見つめ、じっと目をこらしてみた。なにかピカッと光るかも…金属だから。でもよく考えたら、もう光ってないかも。でも光るかも…見つかるわけない。わかっているのだが、探してしまうんですね。こりゃもう仕方ないのです。自分でもやめられないのです。見つかるわけもなく、海を目に焼き付けておいた方がいいと思い、今回の活字捜索も終了。座ってひたすら海を眺める。

〜なぜ気が重いのか〜
考えてみた。今日で旅が終わるから?これから仕事が忙しくなるから?またおじさんに会わなきゃいけないから?よく考えたら、最後のが一番の理由だ。こんなことで沈んでしまう自分が嫌なのだが、どうも合わないのだ。全く悪い人じゃないとは思う、むしろいい人だと思う。ただ私と合わなかっただけ。でも、そんなのあと数時間で終わること。そしたらもう一生会わないかもしれない。いいじゃんいいじゃん、別れを惜しむくらいの気持ちでいましょうよ。海を目に焼き付けて、そろそろ時間なのでお別れ。いくらか気分も晴れて、ホテルに戻ったのでした。

海パノラマ
最後まで眺めていた海。またつないでみました。さようなら

〜いけいけ〜
おじさんがやってきた。どうやらほかのお客さんはいなかったらしい。ということは私だけ本渡港に…なんだよぅ、それじゃ初めの予定どおり、バスセンターまで連れていっておくれよぅ。…そんなダダっこのようなことを気弱な私が言えるはずもなく、車は出発。しかしおじさん、ナイスな気遣い。
「どうします、本渡のバスセンターに行きますか?そっちからのバスを使うと、天草五橋なんかが見られますけど」
「あ、じゃあそっちでお願いします」
即答である。よかった、そこからのバスなら、時間はかかるけど直通で空港まで行ってくれるし、時間もわかっているので確実だ。よかったよかった。よし、おじさん、そのまま本渡まで突っ走っちゃってください。

〜と、思ったら〜
「そこに、滝や水車があってキャンプ場になってるんですよ」
車が止まった。降りなくちゃだめ?見なくちゃだめ?おじさん車から降りちゃってるし。しかたないですな…。乗り気を装って降りる。
「そこの水車は、この間まで日本一大きい水車だったんですけどね。今はもっと大きいのが近くにできて、これは2番目になってます」
目の前にはかなり大きい水車。2階建ての建物くらいの大きさに見えたけど…そんなことないかな?水車は焼き物の石を発掘するのに利用されていたそうです。私は日光江戸村で見ただけだったので、発掘にも利用されていることを知ってちょっと驚きでした。

水車 日本で2番目に大きい水車。
このあたり、夏は避暑地にもなるそうだ

〜水辺はこわい〜

滝 近くにある滝。上に吊り橋がかかっています

次は滝の方へ。これも大きいぞ…おじさんの話によると、17メートルくらい。いまいちピンとこないけど、滝の上に行ったらかなり高いだろう。夏になると子どもたちが上から飛び降りて遊んでいるそうです。さらに上に架かっている橋から飛び降りる子もいるそうで。ひゃ〜、たくましいなあ…私は海だなんだと騒ぐくせに川や沼が怖いので、考えただけでお腹がひゅっとなる感じがした。

〜常識知らずですみません〜
なんだかんだでちょっと楽しんで車へ戻る。しばらく走ると、福連木という地区へやってきた。ここでは子守唄が有名だそうで、コンクールも開かれるんだとか。会場の公園にまで連れて行っていただき、車で一周してもらいました。私は五木の子守唄も知らず、おじさんは「なんと常識知らずな」という感じだったが、いろいろ話していただいて勉強になりました。すみません、お恥ずかしいことに、興味のあること以外は全く知らないんです。

〜名前だけは〜
車の中からダムを見学しながら進み、いよいよ本渡市へ。気になっていることをきいてみた。
「あのー、このへんは合併しないんですか?」
「ああ、しますよ。苓北町以外が合併して、下天草市になるっていう話が出てるんです。全部が合併すれば、下島全体が1つになったんですけどねー…」
おじさんちょっと残念そう。苓北町は火力発電を持ってるから、合併しなくても生きていけるんですね…。気になることをもう1つ。
「合併後の住所は下天草市天草町になるんですか?」
「そうそう、そうです」
ホッ、よかった。私は合併後の住所が新しくなり、古い住所が消えてしまうのが悲しいのだ。合併は仕方ないことなのかもしれないけど、住所の一部にでも昔の地名が残ってほしいと思っているのです。

〜また1人〜
本渡のバスセンターはかわいらしい建物でした。そんなに大きくないんだなあ。諫早のバスターミナルみたいなのを想像してた。ここでおじさんともお別れです。ちょっと寂しいものがありますな。2日間お世話になりました。なんか沈んだりしたけど、時間を気にしないで次の場所に行けるというのはやっぱり楽ちん。でも私はやっぱりバスだなあ…。生意気なことはするもんじゃないです。椅子に座って、1人でのんびりバスを待つ。

〜なんかいいバスだ〜
本渡市のホテルから来るバスだったので、座れるところがあるか心配していたが、そんなのは無用でした。4、5人くらいしか乗ってなかった。しかもありがたいことに、片側は1人がけ。一人旅に優しいバスだ〜。さらに椅子が広めでゆったりしていて疲れにくそう。このバス最高だよ〜。その後、特に混雑することもなくバスは順調に進んだ。学生さんも乗ってきて、地元の方も利用されてるんですね。途中、「天草四郎公園」というバス停があり、女子高生が降りていきました。いいなあ、「最寄りのバス停は『天草四郎公園』です」なんて言ってみたい。そんなの言う機会ないだろうけど。変なあこがれ。

〜ちょびっと観光〜

バスからの天草松島 しまった、あっち側の方がよく見えたか…

バスはいよいよ天草五橋へさしかかりました。これが天草松島か〜。青い海に、緑の小島がポコポコ浮いてます。デジカメのメモリがすでになくなっていたので、携帯電話のカメラで撮影。便利な世の中になりましたなあ。その後、景色を見ながらウトウトしたりしていると、知らないうちに九州本土に渡っていた。

バスからの天草松島2 こちら側でも充分見えました

〜反対側は雲仙?〜
あれってもしかして島原半島??海の向こうにすぐ陸が見える。いや、でも違うか…なんかよくわからなくなってきたぞ。地図で見ると、見えない距離ではない。うーん…島原ということにしておこう。だとしたらかなり近くにあるんだなあ。(今地図で見てみたら、島原と熊本の間は30kmほどでした。意外に近いんですね〜。)

〜熊本城は行ってないんです〜
バスは熊本市内へ。熊本も路面電車が走ってるんだねぇ。ここまでバスは空いていたのだが、交通センターでお客さんがたくさん乗ってきた。そうか、熊本市内を観光して空港に行く人が多いのかな。その後熊本城の近くを通ったが、あいにく天守閣は見えなかった。石垣だけ観光。あとで思ったが、熊本城は行っておいた方がいいですね…。人に「熊本に行きました」と話すときに、みんな必ず「熊本城?」と言うのだ。いや…天草なんですけど…。さらに「長崎に行きました」というと、必ず出るのが「出島」。出島は行ってないんだけどなあ…。県外の人間の認識なんてこんなもんだよね。私も興味あるところ以外はよく知らないし。まだまだいろんなものを見なくちゃなあ。

〜歌謡曲とのんびりした風景〜
市街地を抜けて、熊本空港へ。バスの旅も終わりです。このバス、ずっとラジオか何かが流れてて面白かった。昔の歌謡曲みたいなのが聞こえてきて、それがのんびりした景色と合っていて、それだけでなんだか楽しかった。空港に到着し、バスを降りる。また乗りたいなあ、このバス。

〜おわりに〜
今回もいろいろな方々にお世話になりました。関わったすべての方々に感謝です。ずっと行きたかったミゲルのお墓に行けてよかった〜。強風に吹かれながら歩いたあの日を忘れません。天草もいいところだったなあ。また行って、見逃してきたところを見てきたいと思います。使節関連の地はまだまだあるんだよね…なんてったって外国にも及んでるわけだし…これからも旅は続きそうだ。

〜おまけ〜
今回は前半が長崎だったので、後半の熊本で買ったおみやげがほとんど。さて、何を買ってきたのでしょうか。恒例のおみやげ紹介です。
○本渡市内にて
+丸尾焼きの湯のみ
○苓北物産館にて
+海鮮煎餅つめあわせ「磯笛六煎」×2
(これは結構好評。えび・イカ・ウニ・ふぐ・わかめ・カニの6つの味が楽しめます)
+天草五橋あおさせんべい
+たこチップ
(ソース味でした)
+たこの華×3
(ガイドブックに載っていたおみやげ。たこを薄くけずってあります)
+デコミカンプリン
+たこめしの素
+干しだこ
+焼きだこ
+いかこんぶふりかけ
○熊本空港にて
+はやしのいきなり団子(冷凍)
+デコポンキャラメル
+阿蘇のカマンベールチーズケーキ
+デコポンゼリー
+キジ馬
+天草四郎キティボールペン・シャーペン

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