恋風旅路 >> 恋風旅日記 >> イスラエル旅日記 >> タブハ/カファルナウム/ガリラヤ湖


 「イスラエルで心に残っているところは?」と尋ねられたら、たぶんこの場所を答えるだろうと思ったくらい、気に入ったのが、ガリラヤ湖です。
 まずは滞在地のティベリアから、湖沿いに北上、タブハという町を目指します。このあたりも聖書によく出てくる土地なので、うかうかしてられません。

エルサレム遠景2 はい、ここがマグダラです!とガイドさんがおっしゃったのでバスから撮影。交差点だった
 
 「マグダラのマリア」といえば、絵画にも描かれ、ちょっと前に流行った『ダヴィンチ・コード』にも出てきていたようですが(小説は読んでないうえに、映画は途中で寝てしまったので内容がほとんどわからない)、そのマリアが住んでいたと言われるのがマグダラです。マグダラ(ミグダル)は「塔」という意味だそうです。
 マグダラのマリアはイエスに7つの悪霊を追い出してもらい、その後、弟子としてつき従っていました。イエスの磔刑のときも近くにいて、復活後に最初にイエスが姿を現したのも、この女性の前だと書かれています。なんか、重要な役割をもってたんでしょうな。世間では何やらロマンチックな感じで騒がれてるけど、聖書では淡々と書かれてます。だからいろんな解釈ができるんですね。


タブハ

 「7つの泉」という意味をもつタブハ。現在は泉の数が3つになってしまったそうですが、ここにも聖書にちなんだ教会があり、見どころたくさんです。


山上の説教の教会

 「至福の山」という名前の丘に建つのは、山上の説教の教会です。ガイドブックには「山上の垂訓教会」と出ています。
エルサレム遠景2 山上の説教の教会にある修道院の庭。信者の方が「きれいねー、神様がつくったとしか思えない」とおっしゃっていて、「信仰をもつとそういう考え方ができるんだ」と思った、印象に残っている場所
山上の説教の教会 外観。ガイドブックの表紙にもなっていました
こちらは正面から撮影
正面の広場にはこんなモザイクが施されていました。ぶどうはイエスの象徴ですね
 
 山上の説教とさきほどから言っていますが、内容は「マタイによる福音書」5〜7章に載っています。「心の貧しい人々は、幸いである」という内容から始まり、キリスト教の教えとしてよく言われる「敵を愛しなさい」ということや、「求めなさい。そうすれば、与えられる」といった言葉も、全てここで出てきます。さらに、カトリック信者が大切にしていて、ミサで必ず唱える「主の祈り」も、ここで教えられています。
 私は心配性なので、山上の説教に入っている「明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。」という言葉に、だいぶ救われてます。今悩んでもどうしようもないこと(例:明日はあの仕事やらなくちゃ、あっちも片付けて…)が頭をよぎると、「まあ、明日考えればいいか。今は何もできないし」と思い直すことができるようになってきたかな。意識しないと切り替えできないけども。

お墓 山上の説教の教会、聖堂内部。そんなに広くなく、祭壇がど真ん中にある。まわりを囲うように会衆席が設置されています
天井。真ん中の青が印象的。ガイドブック「教会内には(山上の説教の)8つの句がラテン語で記され…」え、そうだったんだ!窓に書いてあるのがそれかな?
エルサレム遠景2 祭壇の足下。祭壇から水が流れ出ているような模様が気に入った

 余談ですが、この日はこちらの聖堂でミサが行われました。でもこれが旧式の祭壇なので、先生がかなりやりにくそうにしてました。このとき見ていて違和感がありましたが、旧式だからだったのかと理解するのは数年後…。
※旧式って?と気になる方はこちら↓
(使節あれこれ その2-2)ミサいまむかし(別ウィンドウが開きます)

 こちらの教会は庭が広く、散策も楽しめます。
エルサレム遠景2 庭からガリラヤ湖が見えます
斜面の下にいるガイドさんの説明を聴く、巡礼団の人々。山上の説教も、イエスが丘の下で語り、人々は斜面にいてイエスを見下ろしながら聴いていたんだとか(その方が音響がよく、よく聞こえるらしい…古代ギリシャの劇場とかも同じ仕組みで作られているそう)
丘の上にあるので、素晴らしい眺め
駐車場からの眺望


パンと魚の奇跡の教会

 
聖書にはイエスの様々な奇跡について書かれていますが、有名なものの1つが、五千人に食べ物を与える奇跡です。その場にはパン5つと魚2匹しかなかったのですが、イエスが賛美の祈りを唱え、弟子たちに渡し、弟子たちが群集に与えると、すべての人が食べて満足した、という内容で書かれています。この奇跡を記念して建てられたのが、パンと魚の奇跡の教会です。現在はドイツ系のベネディクト会の教会になっています。

エルサレム遠景2 パンと魚の奇跡の教会 外観
中庭に鯉がいました。そんなもの撮ってもつまらないじゃん…と思いつつ、撮影している人につられて撮る私
聖堂内部。ちょっと混み合っています
エルサレム遠景2 はっきり言っておきますが、ロウソクは無料ではありません
聖堂内の床はモザイクで飾られています。ビザンチン時代のものらしいです
鳥がたくさん
鴨かな?どうでもいいけど左下に私のリュックが写り込んでる(^^;)
祭壇の下に、一番有名なモザイクがあります(入れなくなっているので真上から撮影できない)
拡大してみました。
やっぱり手ブレ(×_×)
何の絵かわかりますでしょうか。真ん中にパンが入ったカゴがあり、両脇に魚が配置されています。「パンと2匹の魚」のモザイクです


ペトロ召命教会

 
イエスとペトロの出会いの場に建つのが、ペトロ召命教会(ガイドブックでは「ペトロ首位権の教会」)です。イエスがペトロとアンデレの漁師兄弟を弟子にする場面は、「マタイによる福音書」4章18〜20節などに出てきます。

ガリラヤ湖のほとりに建つ、ペトロ召命教会(湖側から撮影)
聖堂のすぐ向こう側に、ガリラヤ湖が見えます
浜辺に降りられるようになっていました。気持ちいいですなあ〜
釣りをしている人がいました。今も昔も、魚をとりに行く場所のようです

 
ペトロ召命教会の内部には、大きな岩があります。これは復活後のイエスが弟子たちに食事を与えたときに、食卓となった岩とされています。このときの話は、「ヨハネによる福音書」21章で出てきます。イエスは復活したあと、ユダヤ人を恐れて隠れていた弟子たちの前に現れます。さらに2回目には、漁をしていた弟子たちに現れます。弟子たち…イエスの死後は元の仕事に戻っていたようですね。
 私はなぜかこの弟子たちに親しみがわくのですが、それはこの人たちが人間的だからかもしれません。ガイドさんのお話の中で心に残っているのが、ユダとペトロの話です。二人とも、違った形ではありますが、イエスを裏切っています。ユダは死んでお詫びをし、ペトロは生きて償いをしたということでした。どちらも苦しんだんだろうなと思うと、何ともいたたまれない気持ちになりますね…。

こじんまりした聖堂内部。みんなしゃがんで、食卓の岩に触れて祈っています。この岩、ガイドブックによると、ギリシャ語で「キリストの食卓」を意味する「メンザ・クリスティ」と呼ばれているとか。諸説あるキリストの食卓、ナザレにもあるらしい
近くで見てみましょう。結構ゴツゴツしていて大きい岩です

 この教会の庭には、イエスとペトロの像もあります。なんと、浜辺で遊んでいたので見逃した…ガイドブックによると泉の跡なんかもあるらしいですよ(ほとんど何も見てないことが判明)。

この日はペトロ召命教会の庭にある、屋外の祭壇でミサです。なんと、ヨハネ・パウロ2世のモザイク画!

(余談) この教会を訪問した9月10日は、日本205福者の祝日だったため、ミサのときの司祭の服が赤になる。この祭壇の前で座って待っていると、緑の森の中を、先生が赤い祭服を風になびかせながら、聖堂の方から歩いてくるのが見えた。なんかかっこよくて、その姿がやたら印象に残った。このミサでは、友人と一緒に「マラナタ」を歌わせてもらった。明るくて楽しい日本語の歌なので、歌いやすくておすすめです。興味ある方はぜひ。


カファルナウム

 
かつて国境の町だったカファルナウムは、イエスの公生活の中心だった地とされています。イエスの時代には、ガリラヤ湖周辺では最も大きな町で、人口が4万人くらいだったそうです。その一方で、異邦人と接することを嫌う当時のユダヤ人のあいだでは、「死の地」「暗黒の地」とされていました。

カファルナウムの入口。「イエスの町」と書かれています。ここには税関もあったので、徴税人のマタイもいたそうですよ
入ってすぐ、ペトロの像があります。ペトロはガリラヤ湖周辺の町ベトサイダ出身で、ここカファルナウムの裕福な家に婿入りしたそうです。えっ、ペトロ既婚者だったんだ…軽い驚きが多発するのが無知のいいところ(と、ポジティブにとらえてみる)

 カファルナウムには町の跡などの遺跡がたくさん残り、発掘・整備されていました。

こんな遺跡が広がっています
私の旅メモによると、石臼らしい
シナゴーグ跡。イエスもシナゴーグで教えたとされています
今は柱しか残っていませんが、きちんと屋根もあったそうです。柱があるんだから当たり前か
シナゴーグの門は残っていました
これだけ見ていると、屋根があったというのが信じられなくなってくる
シナゴーグ跡の外壁。下の黒い玄武岩の部分がイエス時代のものだそう。白いのは4世紀ビザンチン時代の新しいもの。もっと掘れば、イエス時代のものが出てくるらしい

 「マルコによる福音書」1章21節では、イエスが会堂(シナゴーグ)で汚れた霊を追い出す話が出てきます。その続きの29節には、イエスがペトロのお姑さんの熱を下げる話が載っています。この話は「マタイ」や「ルカ」にも出てきますが、「ルカによる福音書」の書き方が一番面白い。ペトロの姑が高い熱に苦しんでいたので、「人々は彼女のことをイエスに頼んだ。イエスが枕もとに立って熱を叱りつけられると、熱は去り、彼女はすぐに起き上がって一同をもてなした。」(「ルカによる福音書」4章38〜39節)…ん??熱を叱りつける??なかなかないですよ、熱を叱りつけるなんて。まあ、風とか湖も叱りつけてるくらいのイエス様ですので、熱にも叱るのが普通なんでしょうな。真面目に想像したら微笑ましい光景に思えた。

 それはともかく、ペトロの姑の家の上には教会が建てられたそうで、現在はさらにその上に新しい教会が建っています。

町の遺構の様子。奥にあるのが現在の教会
上の写真から、もう少し右に進んでみました。奥にガリラヤ湖が見えます
教会の軒下。遺跡にかぶさるようにして建っているのがわかります
お、モザイクです。この大きさだとよく見えませんが、小さなタイルを敷き詰めて、模様を描き出しています
はい、教会の中に入ってみました。とても広い!中心の床はガラス張りになっていて、地下の遺跡を上から見ることができます。みんな集まって覗き込んでいます
上から覗いたらこんな感じでした。素人目には何だかよくわかりませんが、何やら大事な場所なのでしょうな(真面目に見学しろ)
聖堂の窓から、お隣のギリシャ正教の教会が見えました。外見は可愛らしいけど、中はまた暗い感じなのかな〜
湖畔は整備され、庭のようになっていました。しばらく自由時間だったので、皆さん聖書を読んだり、ベンチで寝そべったり、思い思いに過ごされていました。木陰にいると湖からの風が心地いい


ガリラヤ湖

 今回のツアーでは、ガリラヤ湖の遊覧が組み込まれていました。水は恐いけど、船の開放感は気持ちよくて好きな私。ちょっと楽しみです。

カファルナウムから乗船します
エルサレム遠景2 湖畔からの眺め。気持ち良さそうですな〜〜
ギリシャ正教の赤い屋根の教会がここからも見えました
この船に乗ります。乗船の瞬間を写真に撮り、あとで希望者に売るというビジネスがなされていた(私はお金がないので買えなくて残念だった(;;)が、よく考えるとそんなに欲しくもない)
いよいよ出航です!右に見えるのはフランシスコ会の教会だそうです
気持ちいいですな〜〜湖畔を歩くイエス様と弟子たちが見えそうだなあ〜なんてボンヤリ考えてました。写真ど真ん中にあるグレーの固まりがペトロ召命教会です
夏のイスラエルは乾季らしいので、いつも晴れ。天気のことを全く気にせず過ごしていました
乗務員さんが気をきかせて下さり、日本とイスラエルの旗を揚げてくれました
キブツ・ギノサールというところに到着。博物館にイエス時代の船が展示されていました。この船発見の経緯や、保存方法についても展示され、防腐のために大きな苦労と努力があったことがよくわかります(英語展示なので2割くらいしか理解してないと思われる)

 
お昼ご飯には、ピーターさんの魚をいただきました。

こちらです。揚げてあり、ライムを絞っていただきます。白身でおいしい
椅子の背もたれにも魚
レストランの壁に貼ってあった、魚の説明。「St. Peter's fish」と書いてあります

 このピーターさんの魚ですが(この呼び名をあえて使っているのは、私の旅メモに書かれているからです。たぶん添乗員さんか誰かが呼んでたのを気に入ったんだと思う)、現地では「ペトロが捕っていた魚だ」としか聞いていなかったのだが、あとでガイドブックを見たら聖書にも出てくるらしいことが判明。魚をとるシーンはあるけど、そのことを言っているのかな??

 さて、ピーターさんの魚のあとはヨルダン川の洗礼ポイントに向かいます。
 まずは、バスから急いで撮ったヨルダン川。

普通の川でした。まあ、そうでしょうな

 続いて、整備された洗礼ポイント。ガイドブックを見たら、ヤルデニットという場所だったようです。「ヨルダン川」としか認識していなかった私。

はい、こんな感じです。なんか結構森林なので、ワニがいそう…と思ってしまった
お、魚がいます
人が入ってきました
白い服を着ている人が、これから洗礼を受けるようです。この専用の服、売店で購入できます

 イエスはヨルダン川で、洗礼者ヨハネから洗礼を受けました。同じ川の水で洗礼を受けるため、多くの人が集まってくるようです(もしくは、洗礼を受けてるけど川に入りたいだけかも)。ここでは頭まで水に浸かるタイプの洗礼になるのかな??カトリックはオデコにちょろちょろと水をかけるだけなので、着替える必要はありません。なんともお手軽感があります。
 同じツアーの方が、「ねえ、洗礼受ける気ない?先生が今授けて下さるって」と、信者でない二人組の友人と私に話して下さったが、友人も私も「いきなりはねー…」みたいな感じで濁して終わった。その方によると、知り合いの人がずっと洗礼を受けたいと言っているが、それがなかなか叶わないというお話だった。その人のタイミングみたいなものがあるのかなあ。
 で、その後腹痛を起こし、トイレに駆け込む事態となったので、ここは「腹痛が起きた場所」として、その後も私の中で印象に残り続けることになる(後日聞いたところ、ツアーの中のほとんどの人が同時に腹痛を起こしていた。直前に行ったレストランの水が悪かったのかも、と噂になった。私は必ずミネラルウォーターを飲むようにしていたが、このときは出すのが面倒でテーブルにある水を飲んでいたし、ワインを飲んでいた先生は腹痛が起きなかったので)


ホテルに戻りました。我々の部屋は湖向きじゃなくて残念…でも街の様子が見えて面白い

 腹痛という爆弾を抱えつつ、ホテルに無事到着。その後もトイレに何度も行きっぱなしだったが、友人もバタバタしているので「お腹痛いんだよね」とカミングアウトすると、彼女も同じだったことがここで判明。「夕飯はあとにしよう」ということになり、腹痛が落ち着いたころに湖へ行ってみることに。

ガリラヤ湖の夕暮れ。かなり暗くなるまで、泳いでいる子どもがいました
浜辺に座り、友人と語らう。自分たちの遍歴とか、なんでキリスト教に興味があるのかとか、キリスト教について考えたこととか、いろいろ話した
この時間は私にとって宝物のような存在でありつづけている。細かい話の内容は忘れてしまったが、心地よい気温で、イエスゆかりの湖を前に、友人と語り合う(もしくはダラダラとおしゃべりをする)…贅沢で幸せな時間だった

 腹痛もだいぶ落ち着いてきて、あたりが暗くなってきたのでホテルへ戻ることに。夕飯の終了時間まで少し余裕があったので、「食べられそうなものをもらおう」という話になり、バイキングへ向かう。遅い時間だったのでツアーメンバーの方はいないと思っていたが、なんと見つかってしまい、ニヤニヤしながら挨拶。念のため少なめの夕飯をいただき、お腹に不安を抱えながら夜は更けていくのでした。

このホテルはとことんユダヤ教仕様。メズザと思われるものが各部屋についています
隣の部屋のものもこっそり撮影。また手ブレが(^^;) なんと、安息日用の各階停止のエレベーターもありました(エレベーターのボタンを押すのも労働になると見なしているんだとか)



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