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使節あれこれ その3
初期洋風画

 まずはこれをご覧ください。

レオ氏郷南蛮館(会津若松市)にある、「泰西王侯騎馬図」の模写


 …かっこよくないですか!???
 と、私の感想は置いといて、この絵画の原本は現在、神戸市立博物館にあります。この絵が使節と何の関係があるんだ、というと、使節の時代、八良尾や志岐に設置された聖画の工房(画学舎)がありまして、どうやらそこで制作されたものらしいということなのです。
 安土桃山の絵画というと南蛮屏風が有名ですが、その影でこんなのも描かれていたんですね〜。イタリア人修道士ジョヴァンニ・ニコラオが絵の指導をし、日本人が描いたものとされています。
 もちろん、キリストや聖人などを描くのが一番の目的でしたが、日本人が喜ぶということで、このようなキリスト教に関係なさそうな題材も描かれ、大名とかに贈っていたようです。
 美術史でいうと「初期洋風画」に分類され、宗教画でないということで「世俗画」に分けられたりします(このサイトでは宗教画を扱うべきかとも思いますが、これが一番好きなので、あえてこの絵(^^;))。


2年前の展示会で買った「泰西王侯騎馬図屏風」のポストカード
図録をスキャンすると怒られそうだけど、これなら大丈夫かな?(^^;)

 さて、この絵は現在、上のポストカードのように屏風型になっていますが、もともとは襖絵だったと考えられています。
 実は片割れがいて、上写真の左側の絵がアクティブな感じで「動」を表しているのに対し、右側の絵は馬に乗って佇んでいるような図なので、「静」を表すと言われています。「静」の方の原本は、現在サントリー美術館にあります。
 これらの絵は一説によるとペアでキリシタン大名の蒲生氏郷が持っていたとされ、氏郷が会津藩主だったので、幕末まで会津若松城にあったようです。幕末の会津戦争のあと、「動」の方は前原一誠に渡り、いろいろあって神戸市立博物館へ、「静」の方は幕末の会津藩主だった松平家に伝わり、またいろいろあってサントリー美術館所蔵になったとのこと。今は企画展などがないと、一緒に見ることができません(; ;)
 レオ氏郷南蛮館、小さな建物ですが、この絵を襖絵として飾った城中の部屋を再現してて、結構がんばってます。がんばりついでに、「静」の方も模写作って飾ってくれないかな〜〜と期待しているところです。会津は幕末だけじゃないぞ!!(と声を大にして言いたいが、白虎隊にもハマっていた手前、小さな声でしか言えません)

 最後に、幕末以外にも歴史的なものにいろいろ力を入れている会津若松のがんばりをご紹介。


<蒲生氏郷の解説板いろいろ>


<氏郷のお墓>
蒲生氏郷のお墓への入口(うっすら「東口」って彫ってある)

氏郷のお墓。氏郷のことは不勉強であまり知らないが、キリシタン墓は難しかったんだろうなあ


<レオ氏郷南蛮館の内部:2階>
ステンドグラス!きれいですなあ〜

こんな感じの窓。教会っぽい(^^)


会津若松に行かれたら、白虎隊と鶴ケ城だけじゃなくて、ぜひこちらもどうぞ〜。


(2013.12.8 作成)


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