恋風旅路 >> 天正遣欧使節 >> 使節あれこれ >>(その1)ポルトガル式ローマ字



使節あれこれ その1
ポルトガル式ローマ字

 天正遣欧使節の時代には、現代の私たちが習うローマ字とは少し違う、ポルトガル式のローマ字が使われていました。しかし、私たちが使うローマ字と重なる部分も多いため、私たちは日本語がローマ字で印刷されているキリシタン版を、なんとなく読むことができます。
 ここでは、参考文献のポルトガル式ローマ字の一覧表を元に、確認できたものを付け加えてみました。


  (小)ゃ (小)ゅ (小)ょ
a i v ye vo      
ca qui
(qi)
qu que
(qe)
co     kio
(きょ)
sa xi su xe so xa xu xo
ta chi tçu te to cha chu cho
na ni nu ne no nha nhu nho
fa fi fu fe fo     fio
(ひょ)
ma mi mu me mo      
ya y yu ye yo      
ra ri ru re ro     rio
(りょ)
va
(ua)
    je vo
(uo)
     
n              
ga gui gu gue go gia giu gio
za ii
(ji)
zu ie zo ia iu io
da gi dzu de do      
ba bi bu be bo      
pa              

※空欄は未確認の文字です。
【参考文献】小泉保『日本語の正書法』大修館書店


・‥…━━━★楽しみ方★━━━…‥・

1. 実際に書いてみる

 私のHNはカツタですが、これを普通に書くと「Katsuta」となりますね。
 ではポルトガル式にしてみましょう。

 Catçuta

 なんだか雰囲気違いますね!南蛮風です。


2. 実際に読んでみる(1)

 次の画像は、かの有名な「平家物語」の題名部分です。最近は高校生の日本史資料集にも載っています。



 上の一覧表とは違って「V」を「ウ」の母音の代わりにも使ってるんですね。書き方はいろいろあるようです。
 なんとなく読んでみると、

  にほん の
  ことば と
  イストリア を ならい しらん と
  ほっする ひと の ため
  に せわ に やわらげた
  る へいけの ものがたり。
  
→日本の言葉とイストリア(歴史)を習い知らんと欲する人のために世話にやわらげたる平家の物語


3. 実際に読んでみる(2)

 次の画像もキリシタン版の一部です。「金句集」から、私が見た中でわかりやすいのを持ってきました。



 かすれて写っていない部分もありますが、想像力を使って読みます。

  りんこくに けんじゃ あれば、 てっこくの うれい なり。
  こころ。 てきの くに ちこう けんじんが あれば、 てきの
  くには うれい かなしむ。

→隣国に賢者あれば、敵国の憂いなり
 こころ(意味): 敵の国近う賢人があれば、敵の国は憂い悲しむ。


 中にはなんだかわからないものもありますが、それはそれで…一部でも読めれば楽しくないでしょうか??日本文字のキリシタン版よりもわかりやすいと思います。


(2008.08.26 更新)

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